Vine Linux 2.1 for SPARCインストールマニュアル 尾藤 正人 Mon Oct 23 2000 この文書は, Vine Linux 2.1 for SPARC のインストールに関する簡単なマ ニュアルです. ______________________________________________________________________ 目次 1. はじめに 2. 事前調査 2.1 サポートするアーキテクチャ 2.2 サポートしてないアーキテクチャ 2.3 その他 3. インストーラをブートするために 3.1 コンソールコマンド 3.2 フロッピーブート 3.3 CD-ROMブート 3.4 ネットワークブート 3.4.1 TFTPサーバーの設定 3.4.2 RARPの設定 3.4.3 ネットワークブートする 4. インストールする前に 4.1 ユーザーインターフェースの選択 4.2 インストール方法の選択 4.3 仮想コンソール 4.4 言語の選択 4.5 キーボードの選択 4.6 ようこそVine Linuxへ 5. インストールする 5.1 インストールオプション 5.2 パーティションの設定 5.2.1 fdiskのよるパーティションの設定 5.2.2 Disk Druidによるパーティションの設定 5.3 フォーマットするパーティションの選択 5.4 SILOの設定 5.4.1 ブートディスクの作成 5.4.2 SILOのインストール 5.5 ネットワークの設定 5.6 タイムゾーンの設定 5.7 アカウントの設定 5.8 認証の設定 5.9 パッケージグループの選択 5.10 X Window Systemの設定 5.10.1 モニタの設定 5.10.2 ビデオカードの設定 5.11 インストールの準備ができました 5.12 パッケージのインストール 5.13 ブートディスクの作成 5.14 インストールの完了 5.15 Linuxの起動 6. ix86版との相違点 6.1 SPARC版には含まれないパッケージ 6.2 SPARC版にのみ含まれるパッケージ 6.3 ix86版とバージョンの異なるもの 7. 最後に 8. 謝辞 9. 更新履歴 ______________________________________________________________________ 1. はじめに Vine Linuxは, Project VineがリリースしているLinux配布パッケージ (ディ ストリビューション) で, 使いやすい日本語環境を提供することを目標に作成 されています. Vine Linuxについて詳しくは, Vine Linux 2.1について を参照して下さい. Vine Linux/SPARC は, このVine LinuxをSun Microsystems社の SPARCアーキ テクチャ向けに移植したものです. 従来のix86版同様の快適な日本語環境を, そのまま手持ちのSPARC上で動作させることができます. 同時にSPARC向けのパッケージ収録/パッケージの修正などが行われています. ソースパッケージ(SRPM)は一部を除いてVine Linux/ix86と共通化されていま す. ix86版とSPARC版の詳しい違いに関しては, ``ix86版との相違点''を御覧 下さい. Vine Linuxでは, 日本語インストーラを採用しており, 簡単にインストールを 行えます. 実際にインストールする際は, このマニュアルを一読した後で行 うようにしてください. 説明の都合上, 順番が前後する部分が一部存在しま す. 本インストーラでは, X Window Systemを利用したGUIインストーラが標準 となっていますが, Xが使用できないときにはCUIインストーラでもインストー ルすることができます. 本書ではGUIインストーラの場合に沿って記述されて います. CUIインストーラの場合には, GUIインストーラと異なる順番でイン ストールが進みますが, 設定方法はどちらの場合も同じです. なおVine Linuxは, これまでにRed Hat Linuxを利用したことがあれば, ほぼ 同じ手順でインストールすることができます. また, 不具合解消のために更新されたファイルやドキュメントは, Vine Linux配布用のftpサイトにて公開します. 随時 Vine LinuxのWebページ をご確認下さい. 2. 事前調査 実際にVine Linuxをインストールする前に, 御自分のSPARCがVine Linuxで動 作可能なアーキテクチャかどうか, 調べておく必要があります. そのSPARCが どのアーキテクチャか調べるには, SunOS上で "arck -k" を実行すれば分かり ます. 2.1. サポートするアーキテクチャ o sun4cアーキテクチャ o SPARCstation SLC (4/20) o SPARCstation ELC (4/25) o SPARCstation IPC (4/40) o SPARCstation IPX (4/50) o SPARCstation/server 1 (4/60) o SPARCstation/server 1+ (4/65) o SPARCstation/server 2 (4/75) o sun4mアーキテクチャ o SPARCclassic o SPARCstation LC (4/15) o SPARCstation LX (4/30) o SPARCstation 4 o SPARCstation/server 5 (70, 85, 110, and 170 Mhz) o SPARCstation/server 10 o SPARCstation/server 20 o JavaStation 1 o JavaStation 10 o JavaStation E o JavaEngine 1 o sun4uアーキテクチャ o Ultra1, Ultra2, Ultra1 Creator, Ultra2 Creator (SBUSベース) o Ultra30, UltraAXi, UltraAXmp, Ultra5, Ultra10, Ultra60 (PCIベース) o Enterprise 1, 2, 150 (SBUSベースサーバー) o Enterprise 3000, 3500, 4000, 4500, 5000, 6000, 6500 (SUBSベースラー ジサーバー) o Enterprise 250, 450 (PCIベースサーバー) 2.2. サポートしてないアーキテクチャ o sun4d o SS1000 o SS2000 o sun4 2.3. その他 モトローラの680x0ベースのsun3では動作しません. これで動作するLinuxと しては, Linux/sun3 があります. 特 にLinuxにこだわる必要がなければ, NetBSD/sun3 を使うのも良いでしょう. 3. インストーラをブートするために 3.1. コンソールコマンド SPARCのブートコマンドには, PROM(Programmable Read Only Memory) のバー ジョンによって, 2つのタイプがあります. PROMのバージョンが2.0移行のも のをニュースタイル, それ以前のものをオールドスタイルと呼びます. プロ ンプトが "ok" なら, ニュースタイルです. オールドスタイルについては, sunhelp.org にあ るThe Sun Hardware Reference FAQ の "ROM monitor" を参照して 下さい. ニュースタイルの場合は, bootの後にfloppy, cdrom, netのいずれかを指定し ます. 3.2. フロッピーブート ブートするフロッピーディスクを作成します. imagesディレクトリにディス クイメージがありますので, sun4c, sun4mの方はboot32.imgを, sun4uの方 はboot64.imgを選んで下さい. 注意: SMCC製のUltraSPARCでは, フロッピーディスクからブートできない 不具合が, 報告されています. 選んだブートディスクをフロッピーディスクに書き込みます. Vine Linux等 のRed Hat系ディストリビューションをお使いの方は, # mount /mnt/cdrom # dd if=/mnt/cdrom/images/boot32.img of=/dev/fd0 # dd if=/mnt/cdrom/images/boot64.img of=/dev/fd0 として下さい. 他のUNIX系OSをお使いの方は, マウントポイントやデバイス名 を適当に読み変えて下さい. WindowsのDOSプロンプトやMS-DOS上で作成するためのツールをdosutils ディ レクトリに用意してあります. images ディレクトリに移動して, 以下のよう にrawriteコマンドを実行して下さい. G> ..\dosutils\rawrite.exe -n -f boot32.img -d a: G> ..\dosutils\rawrite.exe -n -f boot64.img -d a: 仮にCD-ROMドライブをGドライブとしていますが, お手元の環境にあわせて適 当に読み変えて下さい. 作成したフロッピーディスクを挿入して, ブートプロンプトから, boot floppy でフロッピーディスクからブートして下さい. 3.3. CD-ROMブート CD-ROMからブートするのは簡単です. Vine Linux/SPARCのCD-ROMを挿入して, ブートプロンプトから, boot cdrom でCD-ROMからブートして下さい. 3.4. ネットワークブート ネットワークからブートするためには, 少なくともインストールするコンピュ ータ以外に1台のコンピュータが必要です. インストールするSPARCはRARPで 自分のIPアドレスを取得し, TFTP経由でカーネルとインストールプログラムの ダウンロードを行います. 以下の説明では, インストールするSPARCのホスト名をvine, IPアドレス を192.168.0.2, MACアドレスを09:00:17:xx:yy:zzとして説明しますので, 適 宜御自分の環境にあわせて読み変えて下さい. MACアドレスは起動時に表示さ れるので, きちんとメモをとっておいて下さい. 3.4.1. TFTPサーバーの設定 TFTPサーバーにVine Linuxを使用するならとても簡単です. RPMを使っ てtftpパッケージをインストールして下さい. デフォルトでは, tftpは動作 するように設定されてませんので, 次のようにinetd.confを変更します. #tftp dgram udp wait root /usr/sbin/tcpd in.tftpd ↓ tftp dgram udp wait root /usr/sbin/tcpd in.tftpd /home/tftp デフォルトでは, /tftpboot を使用するようになっていますが, 安全のた め/home/tftpを使用するようにしましょう. inetd.confを修正しただけでは 反映されませんので, 忘れずに, # /etc/rc.d/init.d/inet reload を実行して下さい. これを忘れるといつまでたってもTFTPサーバーが起動し ません. 次にブートイメージを用意します. ブートイメージは, sun4c, sun4mの方 はtftp32.imgを, sun4uの方はtftp64.imgを選んで下さい. 選んだブートイメ ージを/home/tftpにコピーします. # mkdir /home/tftp # cp /mnt/cdrom/images/tftp32.img /home/tftp # cp /mnt/cdrom/images/tftp64.img /home/tftp 最後に, 用意したブートイメージに対してシンボリックリンクを張ります. 次のようにして下さい. # cd /home/tftp # ln -s tftp32.img C0A80002.SUN4C # ln -s tftp32.img C0A80002.SUN4M # ln -s tftp32.img C0A80002 ここで, C0A80002はインストールするSPARCのIPアドレスを16進数表記したも のです. 御自分の環境にあわせて適宜変更して下さい. perlを使用できる環 境の方は, 次のコマンドを打つことで, 16進数表記が得られます. $ perl -e 'printf "%02x"x4 ."\n",192,168,0,2' c0a80002 SUN4CとSUN4Mは御自分のアーキテクチャにあわせて下さい. sun4uの場合, ア ーキテクチャ名は必要ありません. 以上でTFTPサーバーの設定は終りです. 3.4.2. RARPの設定 ここでは, 応答するサーバーがLinuxであると前提して説明します. 他のOSだ と, 異なることがありますので, マニュアルを参考にして設定して下さい. まずは, /etc/hostsにインストールするSPARCのホスト名とIPアドレスを設定 します. 次のようなエントリを/etc/hostsに加えて下さい. 192.168.0.2 vine 次にRARPテーブルにMACアドレスとIPアドレスの対応を登録します. # rarp -s vine 09:00:17:xx:yy:zz きちんと設定されたかどうか, 次のコマンドを使って調べましょう. # rarp -a 3.4.3. ネットワークブートする ブートプロンプトから, boot net でネットワークブートして下さい. 4. インストールする前に 4.1. ユーザーインターフェースの選択 CD-ROMブートやフロッピーブートの場合, "boot:" プロンプトが表示されま す. ここで, 単に "Return" キーを押すとGUIインストーラが起動します. 強 制的にCUIインストーラを選択したい場合は, "text" と打って "Return" キー を押して下さい. フロッピーブートの場合, ``インストール方法の選択'' で 説明するインストール方法を選択するために, 一度CUIインストーラになりま す. この後, インストール方法に "CD-ROM", "NFS", "Hard Drive" のいずれ かを選択した場合は, GUIインストーラになりますが, "HTTP", "FTP" を選択 した場合はもれなくCUIインストーラになります. 注意: 十分にRAMを搭載していない場合は, GUIを選択していても強制的 にCUIによるインストーラが起動するようになります. CUIインストーラでは, いくつか選択を行ったり, 文字入力を行う必要があり ます. 操作の仕方は以下の通りです. o 項目間の移動: o 項目の選択:カーソルキー o 項目([ ]欄)のチェック:<スペース> で有効 / 無効の切替え o 選択内容の決定: "Confirm" や "OK" のボタンで また, テキストモードで選択メニューが表示された時には, キー入力をすると 先頭の文字がそのキーに一致する項目が表示されます. 本マニュアルでは, 基本的にGUIインストーラに沿ったインストール手順を説 明して行きますが, CUIインストーラでもその内容はほとんど変わりません. 4.2. インストール方法の選択 CD-ROMブートの場合はCD-ROMからのインストールになりますが, フロッピーブ ートやネットワークブートの場合, インストール方法を選択しないといけませ ん. インストール方法には次の5つを選択することができます. o CD-ROM o NFS o FTP o HTTP o ハードドライブ ハードドライブの場合は, Vine Linux/SPARCのCD-ROMに含まれる内容を, ハードドライブにコピーしておかなければなりません. このとき, ハード ドライブのパーティションはext2フォーマットである必要があるので, 注 意して下さい. 4.3. 仮想コンソール Vine Linuxのインストーラでは, "Ctrl+Alt+F?" の組合せのキーを押すこと で, 仮想コンソールを切替えることができます. 仮想コンソールにはさまざ まな情報が表示されますので, 有効に活用して下さい. 以下にそれぞれの仮 想コンソールに表示される内容を示します. Ctrl+Alt+F1 CUIインストーラ Ctrl+Alt+F2 シェルプロンプト Ctrl+Alt+F3 インストールログ Ctrl+Alt+F4 システムに関係するメッセージ Ctrl+Alt+F5 その他のメッセージ Ctrl+Alt+F7 GUIインストーラ 4.4. 言語の選択 SPARCではコンソール上で日本語を表示することができませんので, CUIインス トーラでインストールする場合は, 必ず "English" を選択して下さい. GUIイ ンストーラでインストールする場合は, 日本語が表示できますので, "Japanese" を選択して下さい. ただし, CUIインストーラの段階で "Japanese" を選択した場合, GUIインストーラが起動するまでは文字が化けま すので注意して下さい. "English" を選択した場合は, メニューなどが英語表示になります. メニュ ーなどで 日本語を表示させるには, "/etc/sysyconfig/i18n" を以下のように 修正してください. LANG="ja_JP.eucJP" LANGUAGE="ja" これで再起動後, メニューなどが日本語になります. 4.5. キーボードの選択 使用するキーボードを選択します. 日本語Sun Type4/5キーボードをお使いの 方は, レイアウトに "Japanese" を選択して下さい. 各項目設定後に, "設定をテストする" の欄にカーソルをあわせて, キーボー ドの設定が正しく行われているかどうか確認して下さい. 4.6. ようこそVine Linuxへ ここまでの設定が終ると "Vine Linux System Installer" の画面が現れます. さあ, いよいよVine Linuxの本格的なインストールの開始です. "次" をク リックして下さい. 5. インストールする 5.1. インストールオプション Vine Linux 2.1 for SPARCでは, 今回が初リリースのためアップグレードはで きません. 新規インストールのみとなります。新規インストールには次の4つ のインストールクラスを選択できます. o GNOMEワークステーション o サーバー o 全パッケージインストール o カスタム カスタム以外を選択してインストールを行う場合は, 既存のLinuxパーティ ションは一旦すべて削除され, パーティションの設定, ハードディスクの初期 化, コンポーネントの選択, インストールまでが自動的に処理されます. その ため, 以下の説明のうち自動的に設定される項目はスキッ プされます. 以下では新規インストールの "カスタム" を選択するものとして説明します. 次にパーティションの設定を行います. Vine Linuxでは, パーティションの設 定に Disk Druidを使用しますが, fdiskを使用したい場合は, 右上の "fdiskを使用する" の項目をチェックして下さい. 特にPCなどのSCSIハード ドライブを使用する場合は, BSDディスクラベルの書き込みを行う必要がある ので, 必ずチェックする必要があります. 既に, SunOSなどで御使用の場合は その必要はありません. 5.2. パーティションの設定 5.2.1. fdiskのよるパーティションの設定 ここではfdiskを使用した場合について説明しますので, fdiskを使用しない場 合は読み飛ばして下さい. まずは, fdiskを使用するデバイスを選択する画面が出てきますので, fdiskを 使用したいデバイスを選択して下さい. デバイスを選択すると, fdiskのコマンドプロンプトが出てきます. 次に示す のが, fdiskで使用する主なコマンドです. m 簡単なヘルプを表示します s BSDディスクラベルを書き込みます n 新規パーティションを追加します d パーティションを削除します p パーティションテーブルを表示します l 既存のパーティションタイプを選択します t パーティションタイプを変更します w パーティションテーブルをディスクに書き込みfdiskを終了します q 変更内容を保存せずに終了します 既にSunOSなどで使用してないハードドライブの場合, まずは "s" コマンドを 使ってBSDディスクラベルを書き込んで下さい. 次にパーティションを作成を行います. "n" コマンドで新しいパーティショ ンを作成して下さい. スワップパーティションを作成する場合は, "t" コマ ンドを使ってパーティションタイプを "Linux swap" に変更して下さい. 終了するときは必ず "w" コマンドで書き込みを行ってから終了して下さい. そうしないと, 設定が実際に反映されません. 逆に "w" コマンドを使用しな い限りは, 設定の変更が行われることはありません. 5.2.2. Disk Druidによるパーティションの設定 fdiskを使用しなかった場合や, fdiskを使用した後はDisk Druid でパーティ ションの設定を行います.既にパーティションが設定されている場合は, 現在 のパーティションが表示されています. はじめから設定し直す場合は, 該当す るパーティションを "削除" で消します. 新規にパーティションを作成する には "追加" を押します. ミニウィンドウが出ますので, マウントポイント と大きさ(サイズ Mバイト単位), パーティションタイプ(Linux Native または Linux swap)を選びます. 複数のハードディスクがある場合は "確保可能なド ライブ" から選択して下さい. Linuxには最低限, /(ルート)とスワップパーティションが必要です. 最初に スワップを設定したら, /は "DISKいっぱいまで使いますか?" をチェックして おけば, 最大容量を確保してくれます. その他, /, /usr, /var, /homeなどと パーティションを分ける場合でも, /homeを "DISKいっぱいまで" にしておけ ば, ここで半端な領域の調整ができるようになります. ここがよくわからな い場合, /, /boot, /home とスワップパーティションを作成すると良いでしょ う. 例を挙げると, /, /boot, /homeに分ける場合, /bootには16Mバイト程度を割 り当てます. /には最小構成で約600Mバイト以上(フルインストールで1100Mバ イト以上)必要です. /homeには残りを割り当てると良いでしょう. パーティ ションを分けるメリットは, バックアップ がしやすい, ディスク障害時に復 旧しやすいなどがあります. 注意: SPARCでは, 先頭パーティションをスワップパーティションにする ことができません. 必ず, 2番目以降のパーティションにスワップ パーティションを作成して下さい. 注意: PROMのバージョンが古い場合, 大容量ハードディスクでは, Linuxを起動できなくなる場合があります. その場合は "/boot" に割り当てるパーティションを先頭の方に割り当てて下さい. 5.3. フォーマットするパーティションの選択 Vine Linux用のパーティションをフォーマットします. はじめて使うハード ディスクの場合や, パーティションを切り直した場合は, 必ずフォーマットし ます. フォーマットする場合は, /dev/xxxxのところにチェックマークを付け ます. また "フォーマット中に不良セクタを検出する" は, はじめて使用す るディスクや信頼性に疑問がある場合に使うとよいでしょう. チェックマー クを付けたら, "次へ" をクリックします. ただし, ここではまだフォーマッ トは行われません. 実際にフォーマットが行われるのは, ソフトウェアがディ スクにインストールされる直前です. フォーマットを行うとこれまでにディスクにあった情報は失われます. 5.4. SILOの設定 Vine Linux/ix86ではブートローダにLILOを使用しましたが, SPARCではLILOを 使用することが出来ません. Vine Linux/SPARCではLILOに良く似たSILOを使 用します. ここでは, SILOの設定を行います. 5.4.1. ブートディスクの作成 ハードドライブから起動したくない場合や, ハードドライブからの起動に失敗 した場合を考えて, ブートディスクを作成します. "ブート(起動)ディスクの 作成" をチェックしておいて下さい. なお, ここで作成するブートディスクは インストールのためのものではありません. Vine Linuxインストール後, う まくハードディスクから起動できなかった場合は, このブートディスクから起 動することで復旧作業を行えます. 5.4.2. SILOのインストール SILOは次の2つの場所にインストールすることができます. マスターブートレコーダ(MBR) 他のオペレーティングシステムと共存しない場合, MBRにインストール するのをお奨めします. 共存する場合でも, MBRにブートローダが既に インストールされてない場合は, MBRにインストールするのが良いで しょう. SILOは他のオペレーティングシステムを起動することができ ます. ルートパーティションの第1セクタ 既に他のブートローダがインストールされている場合は, これを選ぶと 良いでしょう. その場合は, お使いのブートローダでSILOが実行でき るように, 設定しなければなりません. 5.5. ネットワークの設定 ネットワークインターフェースカード(NIC)がない場合は, "次" を選択し次に 進んで下さい. NICが認識されない場合には, この設定画面はスキップされる ことがあります. その場合は, インストール後に再設定を行なって下さい. ここでは, IPアドレス, ネットマスク, ネットワークアドレス, ブロードキャ ストアドレス, ホスト名, ゲートウェイアドレス, DNSサーバの取得の方法を 選択します. 起動時にネットワークに接続する場合は "起動時にアクティブに する" を選択し, 各フィールドに値を入力して下さい. DHCPサーバにつなぎ これらの情報を取得する場合は, "DHCP使用時の設定" をチェックして下さい. なお, ここでの設定はLAN環境の設定であり, プロバイダへのダイヤルアップ 接続とは無関係です. 5.6. タイムゾーンの設定 タイムゾーンの設定をします. Viewから "Asia" を選択します. 日本付近で マウスをクリックすると "Asia/Tokyo" となります. PCの内蔵時計をGMT(世界標準時刻)に合わせるならば, "システムクロック にUTCを使用" にチェックを付けます. UTCオフセットの設定は, 日本在住の方 はデフォルト(UTC+09)のままにしてください。 5.7. アカウントの設定 まず, システム管理者, つまりスーパユーザ(root)のパスワードを設定しま す. 確認のため同じパスワードを2回入力します. 入力したパスワードを忘 れないように注意してください. また, あまりに単純なパスワードは避けてく ださい. アルファベット大文字/小文字を取り混ぜ, 数字や記号も入れると 比較的安全です. なお, キーボードの設定が実際のキーボードと違う場合, 記号の位置がずれていることがありますので, 注意してください. 2回入力し たスーパユーザのパスワードが問題なければ, "次へ" のボタンが現れます. それまでは先に進めません. ここでのパスワードの長さは8文字まで有効です. 次の "認証の設定" でパスワード認証でMD5を用いれば, パスワードの有効文 字数を増やすことができますが, MD5の設定はインストール後に有効になりま す. 次に, 一般ユーザのアカウントも作成することができます, これはインストー ル後に行うこともできます. すぐに使うユーザは登録しておく良いでしょう, アカウント名にユーザのアカウント名を入れます. 初期パスワードもここで 設定できます(2回入力して下さい). フルネームにはこのユーザの氏名をロー マ字で入れます. 入力後, "追加" を押すと下の一覧に加わります. 5.8. 認証の設定 パスワードの管理方針を決めます. "MD5パスワードを有効にする" はパスワー ドの長さが256文字までサポートする場合にチェックします. "シャドーパス ワードを有効にする" は/etc/passwdの他に/etc/shadowを用いてパスワードが 洩れにくくします. 両方をチェックして下さい. ネットワークでNISを使う場合には "NISを有効にする" をチェックして下さ い. また, NISドメインなどを入力します. 5.9. パッケージグループの選択 インストールクラスにカスタムを選択した場合, パッケージグループを選択し ます. カスタム以外を選択した方は本節を読み飛ばして下さい. 選択できるパッケージグループは以下のような内容になります. Note PC Tools ノートPC用ユーティリティ. SPARCではほとんど関係ありません. X Window System(推奨) TrueTypeフォントの表示を可能にしたX-TT対応版のXFree86や, Xで動く 各種アプリケーション, ボールド体を含めたビットマップフォント, 日 本語TrueTypeフォントが含まれています. Emacs(推奨) 日本語に対応したエディタemacsです. 以前のMuleはemacsに統合されま した. XEmacs Xベースのエディタです. アイコンをクリックするだけで機能を呼び出 すことができます. GNOME デスクトップ環境GNOMEです. Mail/WWW/News Tools メールリーダやニュースリーダなどのネットワーククライアントが収録 されています. また, 定番のNetscape Communicatorも含まれます. Dialup Workstation(for PPP) PPP接続パッケージであるPPxPが収録されています. Vine Linuxでは, PPxPをメインのPPP接続ツールとしています. File Server(NFS/SMB/IPX) ファイルサーバ構築パッケージ. UNIXで一般的なNFS, Windowsのファイ ルサーバになれるSambaなどが含まれています. Network Workstation(for LAN) LANに接続する際に必要なパッケージです. LAN環境で使用するアプリ ケーションなどが含まれています. Internet Server(DNS/WWW/News) インターネットサーバを構築するためのパッケージです. ネームサー バBIND, Webサーバ Apache, ニュースサーバinnなどのインターネット 関連のサーバが含まれています. Data Base(PostgresSQL) データベース用アプリケーションです. TeX Document Formatting 文書整形システムLaTeXのパッケージです. ASCII日本語TeXバージョ ン3.1415, p2.1.8が含まれています. プレビューに使用す る300dpiのPKフォントや, dviファイルのプレビューアも含まれていま す. Development Tools コンパイラ/ライブラリなどの開発パッケージです. gccや各種開発用 のライブラリが含まれています. Extra Documentation(推奨) 日本語ドキュメントとその検索システムです. JFなどのドキュメント と, 検索システムNamazuが含まれています. Vine Tools Vineオリジナルツール. Everything 全てのパッケージ. Everythingを選択すると, 全てのパッケージがインストールされますが, 必要 のないパッケージもインストールされてしまいます. 不具合は出ませんが, 面 倒でもきちんと取捨選択した方がよいでしょう. "個々のパッケージを選択す る" にチェックマークを付けると, より細かい単位でインストールするものを 選択できますが, パッケージの構成について詳しい人以外にはお勧めしませ ん. 5.10. X Window Systemの設定 X Window Systemの設定では, ビデオカードやモニタの設定をします. 5.10.1. モニタの設定 まず始めに使用するモニタの設定を行います. 通常はSunのモニタを選択して おけば問題ないでしょう. 5.10.2. ビデオカードの設定 ほとんどの場合, ビデオカードは自動的に検出されます. 5.11. インストールの準備ができました 以上でインストールの準備が全て整いました. ここで, "次" をクリックする と, パーティションのフォーマットや, パッケージの展開などが行われます. 本当にインストールしてよいなら, "次" をクリックして下さい. 5.12. パッケージのインストール まず, フォーマットするパーティションがある場合, ファイルシステムの構築 が行われます. ディスク容量にもよりますが, かなりの時間を要します. フォーマットが終ると, パッケージのインストールが始まります. PCの性能 と選択したパッケージの種類にも依りますが, 30分から1時間以上かかる場合 もあります. しばらく止まったように見える場合がありますが, あわてずに しばらくは待ってください. インストール中にはおおよその残り時間が表示 されますが, 最初の数十個をインストールするまでは, あまり正確な時間は表 示されません. 5.13. ブートディスクの作成 ``SILOの設定''で, "ブートディスクの作成"をチェックした場合, ブートディ スクが作成されます. フォーマット済のフロッピーディスクを挿入して, "次"をクリックして下さい. ブートディスクが作成されます. 5.14. インストールの完了 おめでとうございます. これでインストールは完了しました. 無事起動する かどうか再起動してみましょう. 5.15. Linuxの起動 電源を入れて起動すると, SILOが起動して "boot:" プロンプトが表示されま す. "Tab" を押せば選択できるラベルが表示されます. 単に "Return" キー を押した場合, デフォルトのラベルが選択されます. 6. ix86版との相違点 6.1. SPARC版には含まれないパッケージ SVGATextMode SPARCにはSVGAがありません. 各種Xサーバー SPARCでは必要ないXサーバーは含まれません. XF86Setup SPARCでは動作しません. apmd SPARCでは動作しません. awesfx Sound Blaster AWEはSPARCにはありません. dev86 ix86向けのものです. ghostscript-epson-1.1-0vl1 i386専用です. isapnptools ISAはix86 PC/ATにしか存在しません. kon2 SVGA前提で動作するkon2はSPARCではもちろん動きません. libc - lilo ix86 PC/AT用のブートローダーです. svgalib SPARCにはSVGAがありません. usbmgr - wmapm apmdが動きませんので. 6.2. SPARC版にのみ含まれるパッケージ 各種Xサーバー SPARC専用のXサーバーが含まれています. audioctl SPARC用オーディオコントロールアプリケーション egcs64 sparc64用のクロスコンパイラです. elftoaout ELFをa.outに変換します. ネットブートするときはカーネルはa.outで なければならず, このツールが必要になってきます. ethtool SPARC HMEカード用の設定ツールです. genromfs mkbootdiskで使用します. prtconf OpenPROM用のツールです. silo SPARC用のブートローダーです. sparc32 sparc64上でsparc32環境を作成する簡単なユーティリティです. 6.3. ix86版とバージョンの異なるもの gdb gdb-5.0がSPARCではビルドできなかったので, gdb-4.18に戻してありま す. 現在調査中. 7. 最後に Vine Linuxでは, 不具合の解消, セキュリティ対策などによる更新が行われる ので, Vine LinuxのWebページ を随時チェックする ようにして下さい. Vine Linuxのユーザーが情報交換を行うためのメーリングリストが開設されて います. こちら を御覧下さい. Linux/SPARCユーザーが情報交換を行うためのメーリングリストが開設されて います. こちら を御覧下さい. Project Vineでは, 次期Vine Linuxとなる VineSeedの開発者を随時募集して います. 特に, i386以外のアーキテクチャの開発者が不足しています. 我こ そは思われた方は, VineSeedについて を参照 して, ぜひご参加下さい. 8. 謝辞 Vine Linux 2.1 for SPARCの開発に共に携わった, 竹田@Project Vineさん, まちの@Project Vineさん, 北山さんに感謝致します. Kondara/SPARCの開発に携わっておられる田渕@Kondara Projectさんには数多 くの助言を頂きました.ここに感謝致します. Vine Linux/SPARCの開発に数多くの助言を頂いたVineSeed-sparc ML の方々へ 感謝致します. Vine Linuxをより良いものにするために, 数多くの活動を行っているVineSeed ML の方々へ感謝致します. 最後に, しがない私を快く受け入れてくださったProject Vineの方々へ, 感謝 致します. 9. 更新履歴 Mon Oct 23 2000 MACHINO, Satoshi o Vine LinuxのWebページのURLを修正. Mon Oct 23 2000 Masato Bito o インストーラでUpgradeできないようにしたので, それに伴う修正. o SPARCに含まれないパッケージにusbmgrを追加. Sun Oct 22 2000 Masato Bito o 大幅に内容を増やし, インストール全般をカバーできるようにしまし た. Thu Oct 19 2000 Masato Bito o ghostscript-epsonに関する説明を追加.(まちのさんの御指摘) Mon Oct 16 2000 Masato Bito o 現在のVineと矛盾するところがあったので修正. Sun Sep 25 2000 Masato Bito o 16進表記に変換するところに, 変換方法の例をあげました.(竹田さんの 御指摘) Sun Sep 24 2000 Masato Bito o 初版 o 言語の選択の所に, "/etc/sysconfig/i18n" に関する項目を追加. (ま ちのさんの御指摘)