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5. インストールする

5.1 インストールオプション

Vine Linux 2.1 for SPARCでは, 今回が初リリースのためアップグレードはできません. 新規インストールのみとなります。 新規インストールには次の4つのインストールクラスを選択できます.

カスタム以外を選択してインストールを行う場合は, 既存のLinuxパーティションは一旦すべて削除され, パーティションの設定, ハードディスクの初期化, コンポーネントの選択, インストールまでが自動的に処理されます. そのため, 以下の説明のうち自動的に設定される項目はスキッ プされます.

以下では新規インストールの "カスタム" を選択するものとして説明します.

次にパーティションの設定を行います. Vine Linuxでは, パーティションの設定に Disk Druidを使用しますが, fdiskを使用したい場合は, 右上の "fdiskを使用する" の項目をチェックして下さい. 特にPCなどのSCSIハードドライブを使用する場合は, BSDディスクラベルの書き込みを行う必要があるので, 必ずチェックする必要があります. 既に, SunOSなどで御使用の場合はその必要はありません.

5.2 パーティションの設定

fdiskのよるパーティションの設定

ここではfdiskを使用した場合について説明しますので, fdiskを使用しない場合は読み飛ばして下さい.

まずは, fdiskを使用するデバイスを選択する画面が出てきますので, fdiskを使用したいデバイスを選択して下さい.

デバイスを選択すると, fdiskのコマンドプロンプトが出てきます. 次に示すのが, fdiskで使用する主なコマンドです.

m

簡単なヘルプを表示します

s

BSDディスクラベルを書き込みます

n

新規パーティションを追加します

d

パーティションを削除します

p

パーティションテーブルを表示します

l

既存のパーティションタイプを選択します

t

パーティションタイプを変更します

w

パーティションテーブルをディスクに書き込みfdiskを終了します

q

変更内容を保存せずに終了します

既にSunOSなどで使用してないハードドライブの場合, まずは "s" コマンドを使ってBSDディスクラベルを書き込んで下さい.

次にパーティションを作成を行います. "n" コマンドで新しいパーティションを作成して下さい. スワップパーティションを作成する場合は, "t" コマンドを使ってパーティションタイプを "Linux swap" に変更して下さい.

終了するときは必ず "w" コマンドで書き込みを行ってから終了して下さい. そうしないと, 設定が実際に反映されません. 逆に "w" コマンドを使用しない限りは, 設定の変更が行われることはありません.

Disk Druidによるパーティションの設定

fdiskを使用しなかった場合や, fdiskを使用した後はDisk Druid でパーティションの設定を行います.既にパーティションが設定されている場合は, 現在のパーティションが表示されています. はじめから設定し直す場合は, 該当するパーティションを "削除" で消します. 新規にパーティションを作成するには "追加" を押します. ミニウィンドウが出ますので, マウントポイントと大きさ(サイズ Mバイト単位), パーティションタイプ(Linux Native または Linux swap)を選びます. 複数のハードディスクがある場合は "確保可能なドライブ" から選択して下さい.

Linuxには最低限, /(ルート)とスワップパーティションが必要です. 最初にスワップを設定したら, /は "DISKいっぱいまで使いますか?" をチェックしておけば, 最大容量を確保してくれます. その他, /, /usr, /var, /homeなどとパーティションを分ける場合でも, /homeを "DISKいっぱいまで" にしておけば, ここで半端な領域の調整ができるようになります. ここがよくわからない場合, /, /boot, /home とスワップパーティションを作成すると良いでしょう.

例を挙げると, /, /boot, /homeに分ける場合, /bootには16Mバイト程度を割り当てます. /には最小構成で約600Mバイト以上(フルインストールで1100Mバイト以上)必要です. /homeには残りを割り当てると良いでしょう. パーティションを分けるメリットは, バックアップ がしやすい, ディスク障害時に復旧しやすいなどがあります.

注意:
SPARCでは, 先頭パーティションをスワップパーティションにすることができません. 必ず, 2番目以降のパーティションにスワップパーティションを作成して下さい.

注意:
PROMのバージョンが古い場合, 大容量ハードディスクでは, Linuxを起動できなくなる場合があります. その場合は "/boot" に割り当てるパーティションを先頭の方に割り当てて下さい.

5.3 フォーマットするパーティションの選択

Vine Linux用のパーティションをフォーマットします. はじめて使うハードディスクの場合や, パーティションを切り直した場合は, 必ずフォーマットします. フォーマットする場合は, /dev/xxxxのところにチェックマークを付けます. また "フォーマット中に不良セクタを検出する" は, はじめて使用するディスクや信頼性に疑問がある場合に使うとよいでしょう. チェックマークを付けたら, "次へ" をクリックします. ただし, ここではまだフォーマットは行われません. 実際にフォーマットが行われるのは, ソフトウェアがディスクにインストールされる直前です.

フォーマットを行うとこれまでにディスクにあった情報は失われます.

5.4 SILOの設定

Vine Linux/ix86ではブートローダにLILOを使用しましたが, SPARCではLILOを使用することが出来ません. Vine Linux/SPARCではLILOに良く似たSILOを使用します. ここでは, SILOの設定を行います.

ブートディスクの作成

ハードドライブから起動したくない場合や, ハードドライブからの起動に失敗した場合を考えて, ブートディスクを作成します. "ブート(起動)ディスクの作成" をチェックしておいて下さい. なお, ここで作成するブートディスクはインストールのためのものではありません. Vine Linuxインストール後, うまくハードディスクから起動できなかった場合は, このブートディスクから起動することで復旧作業を行えます.

SILOのインストール

SILOは次の2つの場所にインストールすることができます.

マスターブートレコーダ(MBR)

他のオペレーティングシステムと共存しない場合, MBRにインストールするのをお奨めします. 共存する場合でも, MBRにブートローダが既にインストールされてない場合は, MBRにインストールするのが良いでしょう. SILOは他のオペレーティングシステムを起動することができます.

ルートパーティションの第1セクタ

既に他のブートローダがインストールされている場合は, これを選ぶと良いでしょう. その場合は, お使いのブートローダでSILOが実行できるように, 設定しなければなりません.

5.5 ネットワークの設定

ネットワークインターフェースカード(NIC)がない場合は, "次" を選択し次に進んで下さい. NICが認識されない場合には, この設定画面はスキップされることがあります. その場合は, インストール後に再設定を行なって下さい.

ここでは, IPアドレス, ネットマスク, ネットワークアドレス, ブロードキャストアドレス, ホスト名, ゲートウェイアドレス, DNSサーバの取得の方法を選択します. 起動時にネットワークに接続する場合は "起動時にアクティブにする" を選択し, 各フィールドに値を入力して下さい. DHCPサーバにつなぎこれらの情報を取得する場合は, "DHCP使用時の設定" をチェックして下さい.

なお, ここでの設定はLAN環境の設定であり, プロバイダへのダイヤルアップ接続とは無関係です.

5.6 タイムゾーンの設定

タイムゾーンの設定をします. Viewから "Asia" を選択します. 日本付近でマウスをクリックすると "Asia/Tokyo" となります.

PCの内蔵時計をGMT(世界標準時刻)に合わせるならば, "システムクロックにUTCを使用" にチェックを付けます. UTCオフセットの設定は, 日本在住の方はデフォルト(UTC+09)のままにしてください。

5.7 アカウントの設定

まず, システム管理者, つまりスーパユーザ(root)のパスワードを設定します. 確認のため同じパスワードを2回入力します. 入力したパスワードを忘れないように注意してください. また, あまりに単純なパスワードは避けてください. アルファベット大文字/小文字を取り混ぜ, 数字や記号も入れると比較的安全です. なお, キーボードの設定が実際のキーボードと違う場合, 記号の位置がずれていることがありますので, 注意してください. 2回入力したスーパユーザのパスワードが問題なければ, "次へ" のボタンが現れます. それまでは先に進めません. ここでのパスワードの長さは8文字まで有効です. 次の "認証の設定" でパスワード認証でMD5を用いれば, パスワードの有効文字数を増やすことができますが, MD5の設定はインストール後に有効になります.

次に, 一般ユーザのアカウントも作成することができます, これはインストール後に行うこともできます. すぐに使うユーザは登録しておく良いでしょう, アカウント名にユーザのアカウント名を入れます. 初期パスワードもここで設定できます(2回入力して下さい). フルネームにはこのユーザの氏名をローマ字で入れます. 入力後, "追加" を押すと下の一覧に加わります.

5.8 認証の設定

パスワードの管理方針を決めます. "MD5パスワードを有効にする" はパスワードの長さが256文字までサポートする場合にチェックします. "シャドーパスワードを有効にする" は/etc/passwdの他に/etc/shadowを用いてパスワードが洩れにくくします. 両方をチェックして下さい.

ネットワークでNISを使う場合には "NISを有効にする" をチェックして下さい. また, NISドメインなどを入力します.

5.9 パッケージグループの選択

インストールクラスにカスタムを選択した場合, パッケージグループを選択します. カスタム以外を選択した方は本節を読み飛ばして下さい.

選択できるパッケージグループは以下のような内容になります.

Note PC Tools

ノートPC用ユーティリティ. SPARCではほとんど関係ありません.

X Window System(推奨)

TrueTypeフォントの表示を可能にしたX-TT対応版のXFree86や, Xで動く各種アプリケーション, ボールド体を含めたビットマップフォント, 日本語TrueTypeフォントが含まれています.

Emacs(推奨)

日本語に対応したエディタemacsです. 以前のMuleはemacsに統合されました.

XEmacs

Xベースのエディタです. アイコンをクリックするだけで機能を呼び出すことができます.

GNOME

デスクトップ環境GNOMEです.

Mail/WWW/News Tools

メールリーダやニュースリーダなどのネットワーククライアントが収録されています. また, 定番のNetscape Communicatorも含まれます.

Dialup Workstation(for PPP)

PPP接続パッケージであるPPxPが収録されています. Vine Linuxでは, PPxPをメインのPPP接続ツールとしています.

File Server(NFS/SMB/IPX)

ファイルサーバ構築パッケージ. UNIXで一般的なNFS, WindowsのファイルサーバになれるSambaなどが含まれています.

Network Workstation(for LAN)

LANに接続する際に必要なパッケージです. LAN環境で使用するアプリケーションなどが含まれています.

Internet Server(DNS/WWW/News)

インターネットサーバを構築するためのパッケージです. ネームサーバBIND, Webサーバ Apache, ニュースサーバinnなどのインターネット関連のサーバが含まれています.

Data Base(PostgresSQL)

データベース用アプリケーションです.

TeX Document Formatting

文書整形システムLaTeXのパッケージです. ASCII日本語TeXバージョン3.1415, p2.1.8が含まれています. プレビューに使用する300dpiのPKフォントや, dviファイルのプレビューアも含まれています.

Development Tools

コンパイラ/ライブラリなどの開発パッケージです. gccや各種開発用のライブラリが含まれています.

Extra Documentation(推奨)

日本語ドキュメントとその検索システムです. JFなどのドキュメントと, 検索システムNamazuが含まれています.

Vine Tools

Vineオリジナルツール.

Everything

全てのパッケージ.

Everythingを選択すると, 全てのパッケージがインストールされますが, 必要のないパッケージもインストールされてしまいます. 不具合は出ませんが, 面倒でもきちんと取捨選択した方がよいでしょう. "個々のパッケージを選択する" にチェックマークを付けると, より細かい単位でインストールするものを選択できますが, パッケージの構成について詳しい人以外にはお勧めしません.

5.10 X Window Systemの設定

X Window Systemの設定では, ビデオカードやモニタの設定をします.

モニタの設定

まず始めに使用するモニタの設定を行います. 通常はSunのモニタを選択しておけば問題ないでしょう.

ビデオカードの設定

ほとんどの場合, ビデオカードは自動的に検出されます.

5.11 インストールの準備ができました

以上でインストールの準備が全て整いました. ここで, "次" をクリックすると, パーティションのフォーマットや, パッケージの展開などが行われます. 本当にインストールしてよいなら, "次" をクリックして下さい.

5.12 パッケージのインストール

まず, フォーマットするパーティションがある場合, ファイルシステムの構築が行われます. ディスク容量にもよりますが, かなりの時間を要します.

フォーマットが終ると, パッケージのインストールが始まります. PCの性能と選択したパッケージの種類にも依りますが, 30分から1時間以上かかる場合もあります. しばらく止まったように見える場合がありますが, あわてずにしばらくは待ってください. インストール中にはおおよその残り時間が表示されますが, 最初の数十個をインストールするまでは, あまり正確な時間は表示されません.

5.13 ブートディスクの作成

SILOの設定で, "ブートディスクの作成"をチェックした場合, ブートディスクが作成されます. フォーマット済のフロッピーディスクを挿入して, "次"をクリックして下さい. ブートディスクが作成されます.

5.14 インストールの完了

おめでとうございます. これでインストールは完了しました. 無事起動するかどうか再起動してみましょう.

5.15 Linuxの起動

電源を入れて起動すると, SILOが起動して "boot:" プロンプトが表示されます. "Tab" を押せば選択できるラベルが表示されます. 単に "Return" キーを押した場合, デフォルトのラベルが選択されます.


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