Vine Linux 2.1 のインストール Masaki Kawamura 1. はじめに 本バージョンには以下の制限があります.これらを了承の上,本バージョンを ご利用ください. o インストール時に一部画面の表示が乱れるところがあります. o すべてのソフトウェアが日本語化されているわけではありません. その他にも不具合があることもありますが,不具合解消のために更新された ファイルやドキュメントは,Vine Linux配布用のftpサイトにて公開します. 随時Project VineのWebページ( )をご確認くださ い. Vine Linuxは日本語インストーラを採用しており,簡単にインストールを行え ます.実際にインストールする際は,このマニュアルを一読した後で行うよう にしてください.説明の都合上,順番が前後する部分が一部(パーティション からのインストールなど)存在します.本インストーラでは,X Window Systemを利用したグラフィカルモードが標準となっていますが,Xが使用でき ないときにはテキストモードでもインストールすることができます.本書では グラフィカルモードの場合に沿って記述されています.テキストモードの場合 には,グラフィカルモードと異なる順番でインストールが進みますが,設定方 法はどちらの場合も同じです. なおVine Linuxは,これまでにRedHat Linuxを利用したことがあれば,ほぼ同 じ手順でインストールできます. 2. ディレクトリ構成 Vine LinuxのCD-ROM(Vine Linux 2.1)は,以下のディレクトリから構成され ます. 1枚目 / ├Vine/ バイナリパッケージ | └RPMS/ RPMパッケージ ├dosutils/ Windows/DOS で使用するツール類 (loadlin.exe, rawrite.exeなど) ├images/ ブートフロッピーディスクのイメージ └misc/ インストーラソース等 2枚目 / └SRPMS/ ソースコード(src.rpm形式) 3. インストールの準備 3.1. インストール手順 インストールの大まかな手順は次のようになります. 事前準備 ↓ インストールディスク作成 ↓ インストーラ起動 ↓ パーティション設定 ↓ ハードディスクへのファイル展開 ↓ 環境設定 CD-ROMから起動できる場合は,「インストールディスク作成」の過程を省略す ることができます. 3.2. 事前準備 ■フロッピーディスクの用意 CD-ROMから起動できない場合は,インストール時にLinuxを起動するた めの「インストールディスク」を作成します.また,インストール後に システムを起動するための「ブートディスク」を作成しますので,予め フロッピーディスクを2枚ご用意下さい. Vine Linux 2.1CR版には「インストールディスク」が添付されています ので,「ブートディスク」用フロッピーディスクを1枚ご用意下さい. 本マニュアルでは,以下の様に2つのディスクを区別します. o 「インストールディスク」:インストール時にLinuxを起動 するために使用するディスクです. o 「ブートディスク」:システムをFDDから起動するための ディスクです.このディスクはHDDからLinuxを起動できなく なったときに復旧する場合にも使用できます. ■事前に調べておくこと インストールを行う前にいくつか準備が必要になります.まず各ハード ウェアの型番などを控えておいて下さい. o ビデオカード(メーカ名やチップ名) o モニタの垂直/水平周波数 o ネットワークカード o SCSIカード o サウンドカード o その他のハードウェア これらが使用するIRQやIOポートなどの設定値は調べておいた方がよい でしょう.Windowsがインストールされている場合では,デバイスマネ ージャで各デバイスのプロパティを見ればわかるはずです.もし,どう してもインストールがうまくいかない場合には,一旦,ビデオカードと モニタ以外のハードウェアを取り外してから行ってみて下さい. ■パーティションについて Vine Linuxをインストールするには,ハードディスクに,新たにパー ティションを作成するための空き領域が必要です.Windowsがプリイン ストールされたPCを購入した場合は,ハードディスクのすべての領域 をWindowsが使う設定になっていることがほとんどです.この場合は, 以下のいずれかの方法で空き領域を確保してください. 1. Linux用に空き領域を残してWindowsを再インストールする 2. Windowsパーティションの未使用部分を空き領域にするツールを利用 する このツールには,dosutilsディレクトリ内のFIPS.EXEや,パーティ ションマジック(Partition Magick)などの市販の製品が利用でき ます.これらのツールを使用する際には,まず一時的に仮想記憶を 使わないよにした上でデフラグを行ってください.ただ し,FIPS.EXE では 8Gバイトを越える部分のパーティション操作は 行なえません. 3. 新規にディスクを増設する 1.の方法は既存の環境を初期化することになりますので,必ず必要なデ ータをバックアップしてから行ってください.また,2.の方法の場合も 絶対に安全とは言えませんので,必要なデータのバックアップを行って ください. 必要な空き領域のサイズは,最小構成で約600Mバイト以上(フルインス トール時に約 1.1Gバイト以上)です.この他にスワップ領域とユーザ領 域が必要となります.スワップ領域はとりあえず64Mバイト程度あれば 十分でしょう.ユーザ領域は一般ユーザが利用できる領域なので,残り の全てを割り当てても良いでしょう. Memo:ハードディスクのパーティションと空き領域 ほとんどのマシンにはWindowsがプリインストールされているた め,パーティションを意識することはないでしょう.新品のハ ードディスクを使う場合,まず論理的にいくつかに分割し,そ の分割したものをどのOSで使用するかを設定しなければなりま せん.この分割した部分を「パーティション」と言います.そ して,パーティションに割り当てられていない部分を「空き領 域」などといいます.Linuxをはじめてインストールする場合, 空き領域にLinuxが使用するパーティションを作成する必要があ るのです.この説明については,WindowsのFDISK.EXEコマンド なども参考になるでしょう. 3.3. インストール方法の選択 Vine Linux 2.1では以下の方法でインストールすることができます. 1. ローカルのCD-ROMからインストールする 2. ローカルのハードディスクからインストールする 3. NFSやFTP,HTTPを使ってネットワーク経由でインストールする 4. PCMCIAを使ってインストールする Vine Linux 2.1CR版にはCD-ROMが付属していますので,1.または4.の方法 ですぐにインストールできます. ここで言う「ローカル」とは,「PC本体に内蔵されている」と言う 意味です. ■ローカルのCD-ROMからインストールする PCに装着されたCD-ROMドライブからインストールを行います.ノー トPCなど外付けのCD-ROMドライブからインストールする場合は後述 のPCMCIAを使う場合を御覧下さい. ■ローカルのハードディスクからインストールする Vine Linuxのファイルが置かれた Linux(ext2) のパーティションから インストールを行います.もし,この方法を使用するのでしたら,いっ たんインストールを中断して Linux(ext2)のパーティションにVine Linuxのファイルをコピーします.パーミッションが変わっている場合 があります.Vine/instimage のディレクトリに移動し,以下を実行し て実行許可を出して下さい. $ chmod -R +x . その後,インストールディスクを用いて再起動し,インストールを行いま す. パーティションの設定後にVine Linuxのファイルが存在するパーティショ ンとディレクトリを聞かれますので,パーティションには IDEな ら/dev/hda1,SCSIなら/dev/sda1などの様に指定し,ディレクトリには ファイルが存在するディレクトリ名を指定します. ■ネットワーク経由によるインストール LAN上のVine Linuxのファイルが置かれたNFSサーバからインストールを 行ったり,ネットワーク上でVine Linuxを公開しているFTPサーバ やHTTPサーバからインストールを行います.LANやNFS,FTP,HTTPなど のネットワーク設定に関する知識が必須になります.UNIX系OSの経験が ない場合は,これでインストールすることはできないと思ってくださ い. ■PCMCIAによるインストール PCMCIAカードを使ってインストールを行います.これはノートPCなどで 外付けのCD-ROMドライブからインストールする場合や,NIC(PCMCIA)カ ードを用いてネットワーク経由でインストールする場合です. 3.4. インストールディスクの作成 Vine Linuxのインストーラは,以下の3つのいずれかの方法で起動します. 1. フロッピーディスクを使って起動する 2. CD-ROMドライブから起動する(CD-ROM起動が可能なPCに限る) 3. ローカルディスクから起動する 本製品にはインストールディスクが付属しており,1.の方法をそのまま利用で きます.もし付属ディスクでうまくいかない場合は,自分で作成することもで きます.なお,お手持ちのCD-ROMドライブがブータブル対応(CD-ROMから起動 可能なタイプ)であれば,ドライブにCDを入れて再起動するだけでインストー ルが始まります.この場合,BIOSの設定でハードディスクよりも先にCD-ROMを 参照するように選んで下さい. インストールディスクは,WindowsのDOSプロンプトやMS-DOS上で作成するのが 簡単ですが,Linuxや他のUNIX系OS上でのCD-ROMやフロッピーディスクの扱い 方がわかっている人ならば,以下のようにして作成できます.ここではVine Linux のCD-ROMが/mnt/cdromにマウントされており,フロッピーディスクのデ バイスが/dev/fd0(Linuxのフロッピーディスクドライブ用デバイス)である と仮定します.Linux以外のUNIXをお使いの場合は適宜修正して下さい. # mount /mnt/cdrom # dd if=/mnt/cdrom/images/boot.img of=/dev/fd0 bs=512 count=2880 付属のインストールディスクには boot.imgとpcmcia.img, pcmcia2.img が 入っています. o boot.img: ローカルのCD-ROMからインストールする場合とローカルディス クからインストールする場合 o pcmcia2.img: CardBus タイプの pcmcia カードを使う場合 o pcmcia1.img: CardBus タイプ以外の pcmcia カードを使う場合 o bootnet.img: ネットワーク経由でインストールする場合 それぞれのインストールディスクを作成するには、boot.imgの場合と同様 に、以下のようにします。 # dd if=/mnt/cdrom/images/bootnet.img of=/dev/fd0 bs=512 count=2880 # dd if=/mnt/cdrom/images/pcmcia.img of=/dev/fd0 bs=512 count=2880 次にWindowsのDOSプロンプトやMS-DOS 上での作成方法を紹介します. Vine LinuxのCD-ROMを入れディレクトリをCD-ROMの imagesディレクトリに移 動します.1.44Mバイトフォーマット済みのフロッピーディスクをAドライブに 挿入して,以下のようにrawriteコマンドを実行します.ここではCD-ROMがGド ライブであると仮定します. G> ..\dosutils\rawrite.exe -n -f boot.img -d a: ネットワーク経由でインストールする場合やPCMCIAを使う場合には, boot.imgの代わりに,bootnet.imgまたは pcmcia.img, pcmcia2.imgをお使い 下さい. G> ..\dosutils\rawrite.exe -n -f bootnet.img -d a: G> ..\dosutils\rawrite.exe -n -f pcmcia.img -d a: 4. インストールする 4.1. インストーラの起動 フロッピーディスクドライブにインストールディスクを挿入し,マシンを再起 動します(CD-ROMによるブートが可能な場合は,CD-ROMをドライブに挿入して から再起動します).するとインストーラが自動的に起動されます.(図 ) boot:のプロンプトが表示されたら,そこで [Enter] キーを入力しま す.[Enter] キーのみを押すと、X Window Systemを使ったグラフィカルなイ ンストーラが起動され,マウスによる操作が可能になります.画面中の設定が 終ったら,「次へ」をクリックして下さい.前の画面に戻るときは,「戻る」 をクリックして下さい.また,左側にヘルプ画面がでますので,注意書きを良 く読んで設定して下さい.無事、図 のような画面が表示 されたら、「インストール開始」の節へ行ってください。 インストーラが正常に立ち上がらない時や,使用しているビデオカードの種類 によっては,この先画面が表示されなくなる場合があります.その場合は,コ ンピュータを再度起動し,boot:プロンプトから,以下の下線部を入力してく ださい.この場合,グラフィカルなインストーラ(グラフィカルモード)は使用 できなくなりますが,テキストモードでインストールを続行できます. boot: text ~~~~ テキストモードでのキー操作 テキストモードのインストーラでは,いくつか選択を行ったり,文 字入力を行う必要があります.操作の仕方は以下の通りです. o 項目間の移動: o 項目の選択:カーソルキー o 項目([ ]欄)のチェック:<スペース> で有効 / 無効の切替え o 選択内容の決定:「確認」や「了解」のボタンで また、テキストモードで選択メニューが表示された時には、キー入力をすると 先頭の文字がそのキーに一致する項目が表示されます。 また,次のような場合には expertモードを使ってください. o ISA 機器が認識されない場合 o PCMCIAのモジュールにオプションを与えたい場合 o SCSIカード,SCSI機器を自動認識させたくない場合 o その他,オプションを自動設定したくない場合 boot: expert ~~~~~~ Promise Ultra66等の拡張ボードでは、SCSI機器の選択では表示されない場合 があります。この場合はインストーラ起動時に ide2=0x6700,0x6802,11 等と 入力を行ってください。このとき,「=」は、106等のキーボードであれば 「¥」の左にあるひらがなの「へ」と書かれたキーを押してください。 ◆ bootnet.imgまたはpcmcia.imgを使って起動する場合 ◆ NFSやFTP,HTTPなどを使ったり,PCMCIAを使ってインストーラを起動する場合 には,ネットワークに関する設定などを先に行っておく必要があります.これ らの設定はテキストモードで行われます. bootnet.imgまたはpcmcia.imgが入っているフロッピーディスクで起動すると 次のような手順で設定が進みます. 1. 「言語選択」画面になります.「Japanese」を選択すると以後のメッセー ジは日本語表示されます.もしこの後の画面が乱れる様でしたら「戻 る」(恐らく読めないでしょうが,右側のボタンです)で戻り,「English」 を選択して下さい.もちろん「English」を選択しても日本語化されたVine Linuxがインストールされます. ただし,linuxconfはインストール時の言 語が設定されてしまいます.Englishでインストールした場合には起動後に 再インストールする必要があります. 以降,本マニュアルでは日本語表示(Japanese)を選択したことを前提に 解説します. (図 ) 2. 「キーボードタイプ」の画面になります.日本語 106キーボードをお使い ならば,jp106を選択し,us キーボードをお使いならば usを選択して下さ い.また,CtrlキーとCAPSキーを入れ替えたい場合は,それぞ れjp106_Ctrl_CAPS,us_Ctrl_CAPSを選択します. (図 ) 3. 「インストール方法」画面になります.インストールする方法を NFS image,FTP,HTTP,CD-ROMから選択して下さい.接続されている機器に よってこのメニューは異なります. (図 ) 4. 「デバイス」画面になります.デバイスが自動認識されてこの画面はス キップされることもありあます。ご使用のNIC(ネットワークインターフェ ースカード)の設定を行います.PCI NICの場合,ほとんどのカードは自動 チェックされますが,ISA NICの場合はIRQとI/Oポートの値を入力します. 「モジュールパラメータを指定する」を選択し,IRQ,DMA,IOポートに適 切な値を入れてみて下さい.IOの値は 0xではじめることに気を付けて下さ い. 例. io=0x300 irq= 5. 「TCP/IPの設定」画面になります.DHCPサーバやBOOTPサーバにつなぎIPア ドレスなどの情報を自動取得する場合は,「動的IP振り分 け(BOOTP/DHCP)を使う」をチェックして下さい.自分で設定する場合は, チェックせずに IPアドレス,ネットマスク,ゲートウェイアドレス,ネー ムサーバを適切に設定して下さい.これらの値はインストール後も使用し ます(変更することも可能です). (図 ) 6. NFS,FTP,HTTPで使用するサーバのホスト名とVine Linuxが置かれている ディレクトリ名を入力します.ディレクトリには,ディレクトリ構成のと ころで説明したi386以下のファイルが存在するところを指定します.たと えば,i386以下のファイルがサーバの/pub/vine/i386以下に存在する場合 には,/pub/vine/i386を入力します. (図 ) 7. 以後、インストールするパッケージの選択、パーティションの設定、 X Windowの設定に関する質問画面が表示されますが、設定方法は次節以降の グラフィカルモードのインストールと同じです。 4.2. インストール開始 以下,グラフィカルモードのインストールメニューに従って説明を行います. オープニングメッセージが出る前に,SCSIカードがある場合はその自動認識が 行われます.また,グラフィカルモードのときはマウスの認識もここで行われ ます.もし認識がされない場合は,一旦中止してテキストモードでインストー ルを行って下さい. デバイスの自動認識が完了すると,オープニングメッセージである「Vine Linux」メッセージ(図 )が表示されます.しばらくする と,次の画面に進みます. グラフィカルモードの場合,はじめにキーボードとマウスの設定を行います. テキストモードの場合は,設定の順番が異なりますので,該当する部分を順次 お読み下さい. ■キーボードの設定 使用するキーボードを選択します(図 ).形式は日 本語106/109キーボードのユーザは「japanese 106-key」を, 101(104)キーボードのユーザは「Genetic 101(104)-key PC」等を選択 します.レイアウトは「Japanese」,「U.S. English」などキーボード にあわせて選択します.デッドキーは日本語を使う時はどちらで良いで す. 各項目設定後に,「選択をテスト」の欄にカーソルをあわせて,キータ イプをすれば,正しくキーボードを選択しているかどうか確認できま す.特に記号 ("="や"("など)を入力して確認してください. ■マウスの設定 使用するマウスを選択します(図 ).大抵 はGenericの 2 Button Mouse (PS/2)または3 Button Mouse (PS/2)で良 いでしょう.それ以外のマウスを御使用の方は適切なマウスのタイプを 選択して下さい.2 Button Mouseの場合は.「3ボタンエミュレーショ ン」をチェックしておくと良いでしょう.左右のボタンを同時にクリッ クすることで,真ん中ボタンを押したものとして扱われるようになりま す. 以上の設定が終ると,「Vine Linux System Installer」の画面が現れます(図 ). 4.3. インストールの方法を選択 ■インストールの方法 Linuxがインストールされていない状態のマシンにインストールする か,すでにLinuxがインストールされているマシンをアップグレードを するかを選択します(図 ). ■インストールクラス ここでは,特定の内容(GNOMEワークステーション,サーバ, 全パッケ ージインストール)によりインストールするか,手動で選択(カスタ ム)しながらインストールするかを選択します.カスタムをチェックす るとインストールするパッケージを選択できます.カスタム以外を選択 してインストールを行う時は,既存のLinuxパーティションは一旦すべ て削除され,パーティションの設定,ハードディスクの初期化,コンポ ーネントの選択,インストールまでが自動的に処理されます.そのた め,以下の説明のうち自動的に設定される項目はスキップされます. また,「アップグレード」を選択すると,次の画面で現在インストール されているLinuxのパーティションが表示されますので,該当するパー ティションを選択して下さい.「アップグレード用のカスタムパッケー ジ選択」をチェックすると,アップデートするパッケージや新規インス トールするパッケージを選択できます.チェックしない場合は既にイン ストールされているパッケージのアップデートのみになり,新規のパッ ケージはインストールされません(パッケージの依存関係で要求される 場合はインストールされます).以下の説明のうち「ディスクのセット アップ」と「フォーマットするパーティションの選択」はスキップされ ます. 以下では新規インストールの「カスタム」を選択するものとして説明し ます. 4.4. パーティションの設定 ■ディスクのセットアップ Vine Linuxをインストールするパーティションの設定を行います(図 ).設定にはDisk Druidを使用します.既にパー ティションが設定されている場合は,現在のパーティションが表示され ています.はじめから設定し直す場合は,該当するパーティションを 「削除」で消します.新規にパーティションを作成するには「追加」を 押します.ミニウィンドウが出ますので,マウントポイントと大き さ(サイズ Mバイト単位),パーティションタイプ(Linux Native or Linux swap)を選びます.複数のハードディスクがある場合は「確保可 能なドライブ」から選択して下さい. Linuxには最低限,/(ルート)とスワップのパーティションが必要で す.最初にスワップを設定したら,/は「DISKいっぱいまで使います か?」をチェックしておけば,最大容量を確保してくれます.その 他,/, /usr, /var, /homeなどとパーティションを分ける場合で も,/homeを「DISKいっぱいまで」にしておけば,ここで半端な領域の 調整ができるようになります.ここがよくわからない場合,/, /boot, /homeとスワップのパーティションを作成すると良いでしょう. 例を挙げると,/, /boot, /homeに分ける場合,/bootには 16Mバイト程 度を割り当てます./には最小構成で約600Mバイト以上 (フルインスト ールで1100Mバイト以上)必要です./homeには残りを割り当てると良い でしょう.パーティションを分けるメリットは,バックアップがしやす い,ディスク障害時に復旧しやすいなどがあります. ■フォーマットするパーティションの選択 Vine Linux用のパーティションをフォーマットします(図 ).はじめて使うハードディスクの場合やパー ティションを切り直した場合は必ずフォーマットします.フォーマット する場合は /dev/xxxxのところにチェックマークを付けます.また 「フォーマット中に不良セクタを検出する」は,はじめて使用するディ スクや信頼性に疑問がある場合に使うとよいでしょう.チェックマーク を付けたら,「次へ」をクリックします.ただし,ここではまだフォー マットは行われません.実際にフォーマットが行われるのは,ソフト ウェアがディスクにインストールされる直前です. フォーマットを行うとこれまでにディスクにあった情報は失われます. ■ブートディスクの作成 ハードディスク(HDD)から起動したくない場合やHDDからの起動に失敗し た場合を考えて,ブートディスクを作成します.「ブート(起動)ディス クの作成」をチェックしておいて下さい.なお,ここで作成するブート ディスクはインストールのためのものではありません.Vine Linuxイン ストール後,うまくハードディスクから起動できなかった場合は,この ブートディスクから起動することで復旧作業を行えます. (図 ) ■LILOのインストール LILOはHDDからLinuxを起動するためのブートローダです.LILOを使う とLinuxとWindowsの起動の選択を行なうこともできます.Linuxの起動 には前述のインストールディスクを使用することにして「インストール しない」をチェックしても構いません.LILOをインストールする場合 は,「LILOを入れるレコード」を選択します. LILO以外のブートローダをお持ちでない場合は,「マスタブートレコー ド(MBR)」をチェックすると良いでしょう.市販のシステムコマンダー など他のブートローダを使用する場合は,「ブートパーティションの 第1セクター」を選択します. SCSIドライブを使っていて,かつ使用しているコンピュータがLBAモー ドでハードディスクにアクセスする場合には,「リニアモードを使用す る」をチェックして下さい (IDEのHDDの場合にはチェックしないで下さ い).この他にカーネルオプションが必要な場合は入力して下さい.大 抵はオプションの設定は必要ありません. パーティションで示されたデバイスから起動したい場合は,「Default boot image」にチェックします.また,ブートラベルを入力して下さ い.ここは「linux」で良いでしょう(デフォルトでは「linux」になっ ています).また,他のパーティションにインストールされている Windows等も liloで選択ブートを可能にしたい場合は,そのパーティ ションの選択と,ブートラベルの設定を行う必要があります. なお,コンピュータからLinuxを完全に削除したい場合などで LILOが不 要になり,LILOを完全にMBRから消してしまいたい場合は,起動可能 なDOSフロッピーディスクにfdisk.exeを入れておき, FDISK /MBR を実行します. 4.5. システム環境の設定 Vine Linuxが起動した後に必要な設定を行います.設定がわからないものなど は,スキップして飛ばしても構いません.これらの設定はインストール後に設 定することができます. ■ネットワークの設定 ネットワークインターフェースカード(NIC)がない場合は「次へ」を 選択し次に進んで下さい.NICが認識されない場合には,この設定画面 はスキップされることがあります.その場合は,インストール後に 「2.2 再設定を行うには? 」を参照して設定を行なって下さい. ここでは,IPアドレス,ネットマスク,ネットワークアドレス,ブロー ドキャストアドレス,ホスト名,ゲートウェイアドレス,DNSサーバの 取得の方法を選択します.起動時にネットワークに接続する場合は「起 動時にアクティブにする」を選択し,各フィールドに値を入力して下さ い.DHCPサーバにつなぎこれらの情報を取得する場合は,「DHCP使用時 の設定」をチェックして下さい. なお,ここでの設定はLAN環境の設定であり,プロバイダへのダイヤル アップ接続とは無関係です. (図 ) ■タイムゾーンの設定 タイムゾーンの設定をします.Viewから「Asia」を選択します.日本付 近でマウスをクリックすると「Asia/Tokyo」となります. PCの内蔵時計をGMT(世界標準時刻)に合わせるならば,「システムク ロックにUTCを使用」にチェックを付けます. UTCオフセットの設定は 日本在住の方はデフォルト(UTC+09)のままにしてください。 (図 ) ■アカウントの設定 まず,システム管理者,つまりスーパユーザ(root)のパスワードを設 定します.確認のため同じパスワードを2回入力します.入力したパス ワードを忘れないように注意してください.また,あまりに単純なパス ワードは避けてください.アルファベット大文字/小文字を取り混ぜ, 数字や記号も入れると比較的安全です.なお,キーボードの設定が実際 のキーボードと違う場合,記号の位置がずれていることがありますの で,注意してください.2回入力したスーパユーザのパスワードが問題 なければ,「次へ」のボタンが現れます.それまでは先に進めません. ここでのパスワードの長さは8文字まで有効です.次の「認証の設定」 でパスワード認証でMD5を用いればパスワードの有効文字数を増やすこ とができますが,MD5の設定はインストール後に有効になります. (図 ) 次に,一般ユーザのアカウントも作成することができます.これはイン ストール後に行うこともできます.すぐに使うユーザは登録しておく良 いでしょう.アカウント名にユーザのアカウント名を入れます.初期パ スワードもここで設定できます(2回入力して下さい).フルネームには このユーザの氏名をローマ字で入れます.入力後,「追加」を押すと下 の一覧に加わります. ■認証の設定 パスワードの管理方針を決めます.「MD5パスワードを有効にする」は パスワードの長さが256文字までサポートする場合にチェックします. 「シャドーパスワードを有効にする」は /etc/passwdの他 に/etc/shadowを用いてパスワードが洩れにくくします.両方をチェッ クして下さい. ネットワークでNISを使う場合には「NISを有効にする」をチェックして 下さい.また, NISドメインなどを入力します. (図 ) 4.6. インストール内容の決定 本節は「カスタム」を選択した場合にのみ参照してください.ここではインス トールする内容(コンポーネント)を選択します. ■インストールするコンポーネント リストの中からインストールする内容を選択します.リストの各コンポ ーネントが表す内容は次のようになっています. (図 ) o Note PC Tools ノートPC用ユーティリティ.PCMCIAドライバpcmcia-csやAPMユーティリ ティapmdなどが含まれています. o X Window System (推奨) TrueTypeフォントの表示を可能にしたX-TT対応版のXFree86や,Xで動く 各種アプリケーション,ボールド体を含めたビットマップフォント,日 本語TrueTypeフォントが含まれています. o Emacs (推奨) 日本語に対応したエディタ emacs です.以前の Muleは emacsに統合さ れました. o XEmacs X ベースのエディタです.アイコンをクリックするだけで機能を呼び出 すことができます. o GNOME デスクトップ環境 GNOMEです.「デスクトップ環境 」 を参照して下さい. o Mail/WWW/News Tools メールリーダのvmailやニュースリーダなどのネットワーククライアン トが収録されています.また,定番のNetscape Communicatorも含まれ ます. o ダイアルアップ(PPP)接続 / Dialup Workstation (for PPP) PPP接続パッケージであるPPxPが収録されています.Vine Linuxで は,PPxPをメインのPPP接続ツールとしています.PPxPを利用したPPP接 続については「PPxP QuickStart for Vine Linux」の章を参照してくだ さい. o ファイルサーバ(NFS/SMB/IPX) / File Server (NFS/SMB/IPX) ファイルサーバ構築パッケージ.UNIXで一般的なNFS,Windowsのファイ ルサーバになれるSambaなどが含まれています. o LAN接続 / Network Workstation (for LAN) LANに接続する際に必要なパッケージです.LAN環境で使用するアプリケ ーションなどが含まれています. o インターネットサーバ(DNS/WWW/News) / Internet Server (DNS/WWW/News) インターネットサーバを構築するためのパッケージです.ネームサーバ BIND,Webサーバ Apache,ニュースサーバ innなどのインターネット関 連のサーバが含まれています. o データベース (PostgresSQL) / Data Base (PostgresSQL) データベース用アプリケーションです. o TeXドキュメントシステム / TeX Document Formatting 文書整形システムLaTeXのパッケージです.ASCII日本語TeXバージョ ン3.1415,p2.1.8が含まれています.プレビューに使用す る300dpiのPKフォントや,dviファイルのプレビューアも含まれていま す. o 開発ツール / Development Tools コンパイラ/ライブラリなどの開発パッケージです.gccや各種開発用 のライブラリが含まれています. o 日本語ドキュメント / Extra Documentation (推奨) 日本語ドキュメントとその検索システムです.JFなどのドキュメント と,検索システムNamazuが含まれています. Everythingを選択するとほぼすべてのパッケージがインストールされま すが,デスクトップPCであってもノートPC関連のコンポーネントがイン ストールされてしまいます.不具合は出ませんが,きちんと取捨した方 がよいでしょう.「個々のパッケージを選択する」にチェックマークを 付けると,より細かい単位でインストールするものを選択できますが, コンポーネントの構成について詳しい人以外にはお勧めしません. 4.7. X Window Systemの設定 X Window Systemの設定では,ビデオカードやモニタの設定をします. 一部のビデオカードや解像度については,インストール完了後に Xconfiguratorを使用して設定した方がよい結果が得られることもあります. もし,画面が正しく表示されなかったり,解像度を変えたい場合は,一旦,X Window Systemの設定をスキップして,インストール終了後,Linuxを起動して から Xconfiguratorで再設定して下さい.この場合,「システムを再設定しよ う 」を参照して下さい. ■ビデオカードの自動検出 PCIのビデオカードが自動検出され,その結果が表示されます.また, ビデオカードに適合するXサーバがインストールされます.検出されな いビデオカードの場合は,「Xの設定をスキップ」をチェックし,イン ストール後に Xconfigurator で設定を行ってください. ■モニタセットアップ 使用するモニタの種類を選択します.使っているモニタがリストに見当 たらない時には,汎用のマルチシンクモニタ(Generic Multi Sync Monitor)のいずれかを選択すればほぼ問題ないでしょう.また,VAIO 505やLet's noteなど NeoMagicのチップを使用した機種では,LCD Panel 1024x765 や 800x600(Neomagic) を選択してください. (図 ) ■Xの設定 使用するビデオカードの種類および、ビデオカードのメモリを選択しま す。ビデオカードが自動認識された場合は若干表示が異なる場合があり ます。「この設定をテストする」を押すと選択した設定がテストされま す. o 「Xの設定をカスタマイズ」はインストール後に再設定できますので, 特にチェックする必要はないでしょう. o 「グラフィカルログインの使用」はグラフィカルなログイン画面 (wdm)を使用できます.ただし、X の起動テストで問題ない場合以外 は、この項目はチェックしてはいけません。(設定はインストール後に もできます) o 「Xの設定を行わない」はインストーラでうまく設定ができない場合に チェックして下さい.インストール後にXconfiguratorを使用して設定 して下さい. (図 ) ■Xの起動テスト きちんと設定されたかを確認するために,X Window Systemを起動テス トします.「この設定をテストする」をクリックすると,X Window System の起動テストを行ないます.正常に起動すると「このメッセー ジが見えますか?」と確認してきますので,問題なければカウントダウ ンが終わる前に「Yes」をクリックします.「No」をクリックした り,10秒以上何もしないとエラーとなってもう一度設定画面に戻りま す. 4.8. パッケージの展開 ■インストールのログ ここでインストール時の記録が/tmp/install.logファイルに記録される ことが表示されます.「次へ」を選択すると,実際にLinuxパーティ ションがフォーマットされ,ソフトウェアのインストールが開始されま す. あるパッケージに必要なパッケージがある場合には「依存関係が不明」 の画面が現れます.ここは「次へ」で進んで下さい. (図 ) ■パッケージのインストール まず,フォーマットするパーティションがある場合,ファイルシステム の構築が行われます.ディスク容量にもよりますが,かなりの時間を要 します. フォーマットが終ると,パッケージのインストールが始まります. PCの性能と選択したパッケージの種類にも依りますが,30分から1時間 以上かかる場合もあります.しばらく止まったように見える場合があり ますが,あわてずにしばらくは待ってください. インストール中には おおよその残り時間が表示されますが、最初の数十個をインストールす るまでは、あまり正確な時間は表示されません。 (図 ) ■ブートディスクの作成 パッケージのインストールが終ると,ブートディスクの作成になりま す.フロッピーディスクをドライブに挿入して,「次へ」を押して下さ い.ブートディスクを作らない場合は,「ブートディスクの作成をス キップ」をチェックして下さい. (図 ) 4.9. インストールの完了 ■終了 これでインストールは完了です.HDDから起動する場合はフロッピー ディスクを抜いて,再起動してみましょう.起動に liloを使わずブー トディスクを使う場合はブートディスクを挿入して起動して下さい. (図 ) 4.10. Linuxの起動 (図 ) 電源を入れて起動すると、図のようなLILO(Boot Loader)が起動します。複数のOSが登録されているときには、矢印キーの上下 で選択をし、Enterキーを押します。 login: というプロンプトが表示されれば起動は成功です.ディスプレイマネージャを 使用するを選択した場合は,グラフィカルな画面が現れるはずです. (図 ) 起動時にカーネルにオプションを指定したい時には、LILOが起動した 時(図lilo)に、 Ctrl キーを押しながら"x"を押すと以下のようにテキストで プロンプトが表示されます。 boot: ここで Tabキーを押してみて下さい.例えば linux dos と選択できるOSが表示されます.ここでは,linux [Enter]でLinux が,dos [Enter]でDOS/Windowsが起動するようになっています. カーネルオプションを与えたい場合には,boot:のプロンプトに続いてlinux オプションと入力します。以下はオプションhda=1869,255,63を指定した例で す。 boot: linux hda=1869,255,63 うまくいけば,/etc/lilo.confにデフォルトのカーネルオプションとして登録 しておけばよいでしょう.やり方は $ jman lilo.conf で確認してください.