Vine Tools Usage Eiji Takeda 著 Written: <1999/03/03 08:57 on parasite.privnet> Vine Tools は Vine Linux のために Project Vine が用意したオリジナルの アプリケーションです。Vine Tools は「初心者でも判りやすいユーザーイン タフェースを提供しよう。」「出来るだけ軽いプログラムにしよう。」という コンセプトのもとに作られています。この文書には Vine Tools の使い方が書 いてあります。この文書は、i386 アーキテクチャを対象としています。 1. どうして Vine Tools なの? Vine Tools は、目的に対して必要十分な機能を提供することを意図した、 Vine Linux 独自のアプリケーション群です。マニュアルや参考書とにらめっ こしなければならないほど大量のアイコンは要りません。面倒なコマンドライ ンオプションを覚える必要もありません。 現在 Vine Tools には、UNIX 系 OS では必須ともいえるテキストファイルの 編集を目的とする vedit と、メールの送受信を目的とする vmail、 vfetchmail が準備されています。 2. vedit vedit はテキストファイルエディタです。UNIX 系の OS では様々な環境設定 などにテキストファイルを利用する場合が多いため、それらの編集は必須で す。しかし、古くから使われている vi 系のエディタや超高機能な Emacs/Mule 系のエディタの編集操作を覚えることは難しく、慣れるまでがた いへんです。ましてや、ワープロのような文字装飾は必要ありません。 vedit は、テキストファイル編集という目的に応じて機能を限定し小さくまと めてありますので、PostIt 的に使うこともできます。 2.1. vedit の機能 vedit は、機能を削るだけ削ったエディタです。起動してみればわかると思い ますが、本当に必要な機能だけを実装しています。vedit には次のような特徴 があります。 使いやすいユーザインタフェース Linux で良く用いられている vi や mule のようなエディタは、ファイ ルを編集するという話以前に使い方を覚えなければならず、初心者には 抵抗のあるものでした。vedit では直観的に扱えるように、簡単な GUI を採用しました。初心者の方でも違和感無く操作できますし、もちろん vedit 上で emacs キーバインドを使うこともできます。 軽い vedit には vi や mule のような沢山の機能はついていません。「ファ イルの「編集」という作業に必要最低限の機能だけが実装されていま す。これにより小さく、軽く、小回りの効くアプリケーションとなって います。 2.2. vedit の使い方 vedit を使用する際に、設定しなければいけないところや、覚えないといけな い操作はありません。メニューを一通りみれば、vedit で出来ることはすべて 理解できます。 メニューについて一通り説明しておきましょう。 ファイルメニュー ファイルに関する操作は、このメニューに集中しています。ファイルメ ニューは、テキストエリアでマウスの右クリックをすることでも呼び出 せます。 編集メニュー カット、コピー、ペーストのメニューです。ここでカットやコピーした ものは vmail 等、他の X クライアントにペーストすることができま す。 vedit でさわる部分は上の二つだけです。シンプルにしたおかげで、すぐに立 ち上がりますし、ウィンドウを何枚も開けて PostIt 的につかうこともできま す。 3. vmail と vfetchmail vmail と vfetchmail は、メールを送受信するためのインターフェースです。 この章では vmail と vfetchmail の使い方について説明します。 3.1. vmail vmail は NeXTSTEP ライクな Look & Feel を持つ、メールを読み書きするた めのアプリケーションです。vmail が提供するのはユーザが直接触る GUI の 部分だけで、実際にメールを送受信する部分は UNIX でよく使われる MH(Mail Hander) というプログラム群を使っていますので、新しいアプリケーションだ からといって不安定であるということはありません。 3.1.1. vmail の機能 vmail は基本的に MH にかぶせる GUI という立場をとっています。ですか ら、「メールを送る」「メールを読む」といった、私達がメールを扱うときに 必要最低限の機能はついています。もちろん GUI が使えるというのも特徴の 一つですから、マウスで読みたいメールをクリックすれば読めますし、ほとん どの作業をマウスを使って行なうことができます。 また、画像ファイルその他のメール添付物も取り扱うことができます。この部 分には、MIME を扱う metamail というアプリケーションを使っています。受 信できるだけではなく、MIME を使って画像を送ることもできます。現時点で は、JPEG と GIF を扱うことができます。 3.1.2. vmail の使い方 vmail を使っていくうえで、必要となる操作を紹介します。 3.1.2.1. メールを読むには まずは、コマンドラインや Window Maker の Dock (画面右側のアプリケー ションランチャ)から vmail を起動してください。vmail は起動時には新着メ ールを読み込みませんので、新しいメールを取り込むためには「新着メール」 と書かれてあるボタンを押す必要があります。メールが来ていれば「メール一 覧リスト」に取り込んだメールのヘッダ一覧が出てくるはずです。読みたいメ ールにマウスカーソルをあわせてクリックするだけで、メールの内容が表示さ れます。 MIME を使用したメールが来た場合には、メニューの「メッセージ」→ 「metamail で処理」を選択することによって、metamail を呼び出し、添付さ れている画像等を見ることができます。 3.1.2.2. いらないメールを削除する 「削除」と書かれたボタンを押すと、現在読んでいるメールに「削除マーク」 をつけることができます。削除されたメールは「メール一覧」でディム表示に なり、「D」というマークが付きます。実際にメールを削除するためには メー ル箱メニューから「コンパクト化」を選択して、メールボックスのコンパクト 化を行なう必要があります。 3.1.2.3. メールをフォルダに振り分ける ある用件ごとにメールをまとめたりするために、vmail は、「フォルダ」とい うものを使います。「メール箱」と書かれているボタンをクリックすると、 フォルダリストが出てきます。 以下にフォルダに対する操作をあげます。 新しいフォルダを作る 新しいフォルダを作るには、「メール箱」ウィンドウの「新規作成」と 書かれているボタンを押します。そうすると、フォルダの名前を入力す るウィンドウが出てきますから、ここにフォルダ名を入力します。フォ ルダ名に使えるのは英数字だけです。スペースは使えません。 メールを移動する 今読んでいるメールをフォルダに移動するには、フォルダリストで移動 させたいフォルダを選択し、「転送」ボタンを押します。そうすると、 選択されたフォルダにメールが移されます。 フォルダを開ける フォルダを選択して、「開く」をクリックするとメインウィンドウで表 示するフォルダが変わります。 フォルダを削除する いらなくなったフォルダを削除したいときには、消したいフォルダを選 択し、「削除」ボタンを押します。確認のダイアログがでますから、 「OK」を押せば、削除されます。この場合、削除したフォルダにあった メールの復元はできません。 フォルダのコンパクト化 削除マークをつけたメールを実際に削除するには、メニューから「メー ル箱」→「コンパクト化」を選択します。また、コンパクト化を行なう とメールについている番号がとびとびになっている場合がありますが、 「メール箱」→「リストの再構築」で 1 番から順番に番号を付け直し ます。この作業はメールの数が多ければそれなりの時間がかかります。 3.1.3. メールを書く vmail でメールを書くには少しだけ設定が必要です。 3.1.3.1. メールを書くための設定 メニューから「vmail」→「プリファレンス」と選択すると、プリファレンス ウィンドウがでてきます。プリファレンスウィンドウはメールを書くときに必 要な設定を行なうためのウィンドウで、以下の項目の設定ができます。 署名 「署名」と書かれたエントリでは、「From: "HOGEHOGE"」 の "HOGEHOGE" にあたる部分を指定 できます。 差出人メールアドレス 前出の From: の にあたるものを指定します。自 分のメールアドレスを書いておきます。 返信先メールアドレス Reply-To: に指定するメールアドレスを指定します。From: に指定した メールアドレスと違うメールアドレスに返事をもらいたいときに指定し ます。 シグネチャファイル 自分の書いたメールの一番最後に付けるシグネチャを記入したファイル を指定します。右の「...」ボタンでファイルを選択できます。 3.1.3.2. メールを書く メインウィンドウの「メール作成」ボタンを押すと、メール作成のためのウィ ンドウが開きます。。「宛先」には、メールを送りたい人のメールアドレス、 「件名」には用件の名前を、「Cc:」にはカーボンコピーを送りたい人のメー ルアドレスを書きます。 次に、いろいろなボタンについている機能について説明しましょう。 発送ボタン 現在書いているメールを送信します。 アドレス帳ボタン アドレス帳を使って宛先にメールアドレスを設定したり、Cc: にメール アドレスを設定したりすることができます。もちろん、アドレス帳です から、名前とメールアドレスの対応を記録しておいたりすることができ ます。 返事ボタン、転送ボタン、引用ボタン 返事ボタンは、選択したメールに対して返事を書く時に使います。相手 のメールアドレスが宛先に設定され、サブジェクトも設定されます。引 用ボタンはメインウィンドウで選択されているメールの行頭に「> 」を つけて、本文に挿入します。転送ボタンは、メールをそのまま引用し、 メールの先頭に「---- Forwarded Message」という行をつけます。 シグニチャボタン プリファレンスで指定したシグニチャを本文に挿入します。 削除ボタン 現在書いているメールを破棄します。 3.2. vfetchmail プロバイダ経由でメールを受け取る場合、POP もしくは IMAP を使ってメール をローカルホストのスプールに取り込む必要があります。ここでは、 vfetchmail というツールを使ってローカルホストにメールを取り込む方法に ついて説明します。vfetchmail は fetchmail というプログラムに GUI をか ぶせたものです。fetchmail の設定ファイルを書くのが初心者には難しいかも しれないということで、GUI で各種の設定を行えるようにしました。 3.2.1. vfetchmail の設定 vfetchmail の設定には次の情報が必要です。 o プロバイダのPOPサーバの名前(プロバイダによっては「メールサーバ」) o POP ユーザ名(プロバイダによっては「メールユーザ名」) o POP パスワード(プロバイダによっては「メールパスワード」) o ローカルホストでのユーザ名 ここでは、次のようなサンプルを仮定して説明していきます。実際にはプロバ イダからもらう情報を参考に適宜置き換えてください。 o プロバイダのPOPサーバ:pop.hoge.ne.jp o POPユーザ名:e-takeda o POPパスワード:hogehoge o ローカルでのユーザ名:takeda 設定を行うには、vfetchmail のウィンドウの虫眼鏡ボタンを押すか、メニュ ーから設定を選択して設定用ウィンドウを呼び出します。 メールサーバ メールサーバには先程調べた情報のプロバイダのPOPサーバを指定しま す。 ユーザ名 ユーザ名には「POPユーザ名」を指定します。 プロトコル プロバイダが指定したプロトコルを書き込みます。 パスワード入力 「パスワード入力」のエントリは文字を入力しても見えないようになっ ています。このエントリにパスワードを打ち込んでリターンを押すと確 認のウィンドウがでますから、もう一度打ち込んでください。両方が一 致した場合パスワードが更新されます。 メールハンドラ メールハンドラにはマシンのローカルメールスプールにメールを置くた めのプログラムを指定します。ここでは一番簡単な例として、単純にロ ーカルホストのスプールにメールを置く方法として、mail.local を使 う方法を紹介します。メールハンドラのエントリに次のように書き込ん で下さい。 mda "/usr/sbin/mail.local -d takeda" ~~~~~~ 下線部は、あなたのローカルマシン上でのアカウントです。 メールの取り込み 赤いポストのアイコンをクリックすると、サーバにアクセスしてメール を取り込みます。 3.2.2. メールの送信の設定 vmail はメールをやりとりするプログラムとして MH を使っていますから、MH の設定ファイルで SMTP サーバ(メール送信サーバ)を指定します。具体的に は、 root ユーザになって /usr/lib/mh/mtstailor というファイルを編集し ます。 設定が必要なのは servers: という項目だけです。他の部分を触ってはいけま せん。servers: には SMTP での接続を受け付けてくれるホスト名を書きま す。今回は SMTP サーバを mailserver.hoge.ne.jp というホスト名であると 仮定しています。 リスト: /usr/lib/mh/mtstailor の例 ------------------------------------------ mmdfldir: /var/spool/mail mmdflfil: hostable: /usr/lib/mh/hosts servers: mailserver.hoge.ne.jp ------------------------------------------ 設定ができたら、セーブして一般ユーザに戻っておきましょう。一度、プロバ イダの自分のアカウントに対してメールを送ってみましょう。エラーが発生し た場合は、プロバイダからの情報と良く見比べてみてください。 4. 著作権 この文書は竹田英二(Eiji Takeda)による著作物で、著作権は著者が有しま す。改変、再配布についての許諾、バグ報告は Project Vine までお願いします。