PPxP QuickStart for Vine MATSUMOTO Shoji 著 Written: <1999/03/22 20:54 on parasite.privnet> この文書には、Vine の標準 PPP クライアントである PPxP を利用して PPP 接続をするための基本的な方法が書いてあります。PPxP は PPxP開発チームに よって開発されたソフトウェアです。 1. 必要なパッケージと操作 userlink パッケージと ppxp パッケージが必要です。これらのパッケージは 標準でインストールされています。カーネルをアップグレード等した場合は userlink パッケージの再構築が必要になる場合がありますので、Kernel Upgrade/Configure Guide for Vine を参照してくだ さい。 PPxP を利用できるユーザは、tty グループと uucp グループに参加していな ければなりません。あるユーザ hoge を PPxP 利用可能にするためには、スー パーユーザ(root)で以下のように実行します。 # /usr/sbin/ppxpadduser hoge 2. PPxP のインターフェース PPxP の本体は ppxpd です。Vine では /usr/sbin/ppxpd としてインストール されています。これを一般ユーザ権限で操作するインターフェースがいくつか 用意されており、Vine では以下の 3 つがインストールされます。 どのインターフェースにおいても、「quit」は PPxP 本体の終了(接続をすべ て切断し設定をクリア)を表し、「bye」はインターフェースの終了(接続はそ のまま、設定もそのまま)ですので注意してください。 ppxp 標準のコンソールインターフェース(CUI)です。最も細かい設定を行う ことができます。コマンドラインから ppxp とタイプすることで実行し ます。 tkppxp Tcl/Tk を使った X の GUI インターフェースです。PPxP の様々な状態 を表示したり、設定したりすることができます。Vine では、Window Maker のメニューの「ユーティリティ→ネットワーク」から呼び出すこ とができます。 xppxp,xppxpm X の GUI インターフェースです。シンプルな機能で、xppxpm は表示サ イズが小さいため、PPxP の状態を常に表示させるのに向いていま す。Vine では、Window Maker の右にある Dock の上から 5 番目に xppxpm が表示されています。 3. 接続の設定 ここでは PAP/CHAP による設定を扱います。まずは ppxp や tkppxp を利用し て接続のための設定を行うのですが、qdial コマンド(実体は tkppxp)を実行 するのがよいでしょう(図:qdial )。なお、ppxp インター フェースの qdial コマンドを利用することもできます。 qdial を実行するには、Window Maker のメインメニューから「ユーティリ ティ→ネットワーク→PPP の設定(qdial)」を選ぶか、コマンドラインに以下 のように打ち込みます。 $ qdial 3.1. 標準設定 デバイス名 モデムが接続されている通信ポートのデバイス名を指定します。通常は /dev/modem でよいのですが、明示的に指定したい場合 は、/dev/ttyS0(DOS/Windows の COM1)や/dev/ttyS1(DOS/Windows の COM2)とします。 ダイアル方式 Tone(トーン)、Pulse(パルス)、Data(デー タ)、Isdn(ISDN)、Piafs(PIAFS)から指定します。 電話番号 接続先の電話番号を指定します。0 発信の内線番号の場合、先頭に 「0,」を付加してください。 ログインユーザー名 PPP 接続用の(ユーザ)ログイン名を指定します。メールアカウント名で はありませんので注意してください。 ログインパスワード PPP 接続用のパスワードを入力します。入力内容は表示されません。入 力を間違えた場合は、[Ctrl]+U を押して最初から入力しなおします。 パスワード(確認) 上で入力したパスワードを確認するために、同じものを入力してくださ い。 接続時にログウィンドウを表示する tkppxp を利用して接続する場合に、接続ログを表示します。 3.2. 詳細設定 認証プロトコル 認証プロトコルを PAP CHAP/MD5 CHAP/MS、PAP、CHAP/MD5、CHAP/MS か ら選択します。通常は PAP CHAP/MD5 CHAP/MS でよいでしょう。 PPP モード PPP の接続モードを active、passive、kick から選択します。通常は active でよいでしょう。 モデムタイプ 接続されているモデムや TA の形式を選択します。通常のモデムならば generic を指定します。 アイドル時間 ここで指定した秒数だけ通信がないと、自動的に接続が切断されます。 自動切断したくない場合は 0 を指定します。 IP マスカレード IP マスカレードを利用して IP アドレスを変換するネットワークアド レスとマスクの大きさを指定します。通常は何も指定しなくてもかまい ません。 VJ 圧縮 PPP の圧縮機能を使用するかどうかを指定します。通常は y でかまい ません。 3.3. DNS 設定 接続時の resolv.conf の書き換え PPP 接続されたときに名前解決用のファイル /etc/resolv.conf を書き 換えるかどうかを指定します。接続が終了すればもとのファイルに戻り ます。 「No」は書き換えを行いません。「Yes」は PPP サーバから DNS サー バを受け取った場合はそれを使用し、受け取らなければ下の指定を利用 します。「Fix」は無条件に下の設定を利用します。通常は「Yes」でい いでしょう DNS サーバの指定 PPP 接続時に利用する DNS サーバを指定します。プロバイダから DNS サーバ(ネームサーバ)が指定されている場合は、ここに設定します。 3.4. 下のボタン 接続 現在設定されている内容で接続します。 更新 現在設定されている内容を PPxP に伝えます。 保存 現在設定されている内容を保存します。内容は ~/.ppxp/conf/<設定 ファイル名>として保存され、後から再利用することができます。 閉じる qdial を閉じます。PPxP 自体は動き続けます。 終了 すべての接続を切断し、PPxP を終了します。 4. 保存した設定を利用して接続する qdial を利用して保存した設定ファイルを利用して、設定を回復することがで きます。 4.1. ppxp コマンドを利用する方法 コマンドラインインターフェースである ppxp を利用するのが簡単です。以下 のようにすれば接続されます。 $ ppxp <保存した設定ファイル名> PPxP version ... interface: ul0 ppxp> connect : PPXP> ppxp のコマンドプロンプトが「PPXP」になれば接続成功ですが、どれか一文 字でも小文字のままならば接続のどこかで失敗しています。最初の「p」はダ イアル中、次の「p」は接続中、次の「p」はユーザの認証中、最後の「p」は ネットワークの設定中を意味しますので、トラブルシューティングの役に立て てください。また、~/.ppxp/log/<設定ファイル名>.logにログが保存されてい ますので、どの部分で失敗しているかを確かめてください。 接続中は ppxp インターフェースを閉じることができます。 PPXP> bye 再び ppxp インターフェースで PPxP にアクセスするためには、下のようにし ます。 $ ppxp PPXP> 接続を切断するためには、下のようにします。 PPXP> disconnect PPxP を完全に終了したい(接続を終了し、設定をリセットする)場合は、以下 のようにします。 PPXP> quit なお、ppxp のプロンプトを表示させずに、コマンドラインから直接命令を送 ることもできます。「ppxp -C 」とするだけです。つまり、 $ ppxp hoge ppxp> auto on ppxp> connect は $ ppxp -C source hoge $ ppxp -C auto on $ ppxp -C connect と同じです。 4.2. tkppxp コマンドを利用する方法 まず、tkppxp を起動します。Window Maker のメインメニューの「ユーティリ ティ→ネットワーク→PPP 接続(tkppxp)」での起動もできます。 $ tkppxp & メニューの「File→Load Configuration」から保存した設定ファイルを選び、 「OK」ボタンを押します。右側に設定ファイルの名前が表示されるのがわかる でしょうか。 また、 $ tkppxp <保存した設定ファイル名> & とすれば、設定ファイルが読み込まれた状態で tkppxp が起動します。 tkppxp の一般的な操作用のボタンは、オーディオ機器の操作ボタンと似てい ます。 o 再生ボタン → 接続 o 停止ボタン → 切断 o 早送りボタン → 通信が自動切断されるまでの時間を延長 o 録音ボタン → 自動切断までのカウントダウンを停止 o 一時停止ボタン → tkppxp を閉じる(PPxP は動いたまま) o 取り出しボタン → すべての接続を切断し PPxP を終了 tkppxp には様々な表示スタイルがあります。Window Maker の Dock に入れて 使いたい場合は、 $ tkppxp -style dock & で起動しておき、画面下に表示されるミニアイコンの枠をドラッグし、Dock の空いている部分にドロップすればよいでしょう。このアイコンをクリックす ると、tkppxp のメインウィンドウが開きます。 4.3. xppxp、xppxpm コマンドを利用する方法 xppxp は tkppxp よりもシンプルな機能のインターフェースです。tkppxp に 比べて、設定機能や自動切断までの時間延長の機能がありません。その代わ り、右上の「PPxP」という文字をクリックすると、ppxp インターフェースを 使ったターミナルが起動しますので、それを利用してください。xppxp を利用 するためには、コマンドラインで以下を実行します。 $ xppxp & また、 $ xppxp <保存した設定ファイル名> & とすれば、設定ファイルが読み込まれた状態で xppxp が起動します。 xppxp の一般的な操作用のボタンは、オーディオ機器の操作ボタンと似ていま す。 o 再生ボタン → 接続 o 停止ボタン → 切断 o 録音ボタン → オンデマンド接続の設定 o 一時停止ボタン → xppxp を閉じる(PPxP は動いたまま) o 取り出しボタン → すべての接続を切断し PPxP を終了 xppxpm は、xppxp の表示をアイコン並に小さくしたもので、継続的な接続状 態の表示に向いています。Vine では、Window Maker の Dock (画面右側のア イコン)の上から 5 番目にデフォルトで起動されています。各種の操作は、こ の表示部を左クリックして表れる操作窓で行います。 Dock 内の xppxpm の起動コマンドは、アイコン背景を右クリックして表示さ れるメニューの「設定」の「アプリケーションのパスと引数」で設定できます ので、起動時に設定ファイルを読み込みたい場合は、設定ファイル名を追加し ておくと便利です。 5. オンデマンド接続 PPxP には、外部ネットワークへのアクセスを検知して自動的に PPP 接続を開 始する機能があります。この機能を利用するためには、まず接続用の設定ファ イルを読み込んでおかなければなりません。設定ファイルの読み込みかた は、``設定の利用''を参照してください。 ppxp 「auto on」コマンドを実行する コマンドラインから 「ppxp -C auto on」を実行する tkppxp 「Auto」文字列を押す xppxp 「録音ボタン」を押す xppxpm クリックメニューから「Auto On」を選ぶ どのインターフェースでも、PPxP がオンデマンド接続モードになっているか は確認できるでしょう。オンデマンド接続モードの時は、現在のネットワーク 接続で解決できないネットワークアクセスが発生すると、自動的に PPxP によ る接続が開始されます。自分が意図しない自動接続が起こった場合は、ログの 「SYS:TRIGGER:」の行に接続要求元の IP やポート番号が記録されていますの で、参考にしてください。 なお、ネットワークカードなどで他のネットワークに繋がっている場合、オン デマンド接続を終了した後にルーティングテーブルが狂ってしまう不都合が起 こる場合があります。 6. その他の情報 この文書に書かれている情報は、PPxP の機能のごく一部です。詳しく は、PPxPガイド を参照してくだ さい。 7. 著作権 この文書は松本庄司(MATSUMOTO Shoji)による著作物で、著作権は著者が有し ます。改変、再配布についての許諾、バグ報告は Project Vine までお願いします。