Vine Quick Start Guide MATSUMOTO Shoji 著 Written: <1999/03/28 03:24 on parasite.privnet> この文書には、インストールされた Vine Linux で様々な参考文書を見れるよ うになるまでの簡単な手順と、最も基本的な使用方法、注意点などが書いてあ ります。 1. 一般ユーザの登録 このセクションの内容は、Vine Installation for Intel PC/AT と重なっています。 Linux に限らず、一般的な UNIX システムには、管理者であるユーザ root と 一般ユーザが存在します。root ユーザでシステム管理以外の作業をするのは 好ましくありませんので、通常は一般ユーザのアカウントを登録して利用しま す。 インストール直後には root ユーザしか登録されていませんので、root ユー ザでログインして新しいユーザを登録しましょう。ここではアカウント 「hoge」を登録することにします。下の「Hoge Hogeo」には、ユーザ「hoge」 さんの名前を英語で書くのがふつうです。 login: root Password: # /usr/sbin/useradd -c 'Hoge Hogeo' hoge これでアカウント hoge が登録され、ホームディレクトリ /home/hoge が作成 されました。次にアカウント hoge のパスワードを設定します。 # /usr/bin/passwd hoge ← hoge さんのパスワードを変更 New UNIX password: ← パスワードを入力 Retype new UNIX password: ← 確認のためにもう一度入力 さらにこのユーザで Vine の標準 PPP クライアント PPxP を使いたい場合 は、以下のようにしておきます。 # /usr/sbin/ppxpadduser hoge 次からは、システムの管理をする以外は一般ユーザのアカウントを利用するよ うにしましょう。 2. 端末へのログインとログアウト システムの管理をする場合以外は一般ユーザで作業しましょう。 login: hoge Password: ← hoge さんのパスワード : $ 一時的に root ユーザになりたい場合は、su コマンドを利用します。 $ su - Passwd: ← root ユーザのパスワードを入れる # 端末を終了するには、logout コマンドを利用します。 $ logout 3. Linux の終了 Linux は、DOS のように即座に電源を切ってはいけません。シャットダウンと いう操作が必要だからです。この操作は、shutdown コマンドでおこないま す。shutdown は root ユーザのみ行えます。実行はプロンプトから、 # shutdown -h now とします。 カーネルオプションに apm=on が設定されており正常に動作していれ ば、Windows のように電源が切れるでしょう。APM BIOS を持たないマシンの 場合は、System halted のメッセージを確認してから電源を切ってください。 4. X Window System の起動と使いかた コマンドラインで startx コマンドを使います。不具合があったときのために X の起動時のログを「X.log」ファイルに残しておくとよいでしょう。X が起 動しない場合、X でマウスが使えないなどの場合はこのファイルがトラブル シューティングの助けになります。 $ startx >& X.log 最初に X を起動した時に、ユーザ用のホームディレクトリに GNUstep という ディレクトリが作成されます。このディレクトリには、Vine 標準のウィンド ウマネージャである Window Maker 用の個人設定ファイルが入っていま す。Window Maker をアップグレードした直後には、このディレクトリを消す なり名前を変えるなりして、メニューおよび設定を新たに作りなおすのが安全 です。 Window Maker の基本的な使いかたは Window Maker Usage for Vine を参照してください。 4.1. 基本的なアプリケーション Vine には、一般的なユーザに必要であろうと思われる各アプリケーションが 含まれています。 エディタ 簡単なファイルの編集には、vedit を使うとよいでしょう。vedit は Window Maker の Dock から起動することができます。他に、nvi、Mule などが標準で入っています。 メール 基本的には vmail と vfetchmail を使えばよいでしょう(Vine Tools Usage )。vmail は Window Maker の Dock から起動する ことができます。もちろん、Mule 上で mew などを使ってもかまいませ ん。 ウェブブラウザ Netscape Communicator を使います。ニュースリーダーや、メール送受 信に使用してもよいでしょう。Nescape Communicator は Window Maker の Dock から起動できます。 環境変数 XFONTSIZE を small や large にすると、システムフォン トの大きさを変更することができます。ノートユーザの人は X Win- dow System を起動する前に以下を実行しておくとよいでしょう。 $ echo 'export XFONTSIZE=small' >> ~/.bashrc なお、Netscape にはテキストフィールド(一行入力/編集/表示領 域)への文字の表示に不具合があります。Netscape 固有のバグのた め、Project Vine では対応できません。ISDN ルータなどの設定を できない場合があります。 さらにこのバグのため、検索ページなどの結果の表示の際に Netscape が頻繁に固まることがあるようです。使用に耐えないほど 頻繁にこの現象が起こる場合は、misc/wcsmbs 以下にある wcsmbs- locale の古いバージョンを使えば症状が軽減されるようです。 $ su - Password: # rpm -e wcsmbs-locale # rpm -i /mnt/cdrom/misc/wcsmbs/wcsmbs-locale-0.4.6-1.i386.rpm ただし、このバージョンの wcsmbs-locale でのテストはほとんど 行っていませんので、システムに不具合が出る可能性があります。 また、コンソール版のブラウザ lynx も使えます。kterm 上では -use_mouse オプションを利用することで、マウスクリックにも対応し ます。ただしその際には文字列のカット&ペーストができなくなりま す。 PPP クライアント 使いやすいと評判の PPxP です。使いかたは「PPxP QuickStart for Vine 」を参照してください。 DTP 機能的には PhotoShop にもひけをとらない画像レタッチ・ペイントツ ール Gimp や、ちょっと癖のある操作体系ながら慣れるとなかなか使え るドローツール Tgif を使うとよいでしょう。どちらも標準でインスト ールされます。また、論文作成などには pLaTex を使います。 Gimp のメニューを日本語にしたい場合は、次のようにします。 $ mkdir ~/.gtk $ cd ~/.gtk $ tar xvzf /usr/doc/gtk-1.0.6_jp/gtkconv-1.0.6/japanese-menu.tgz $ echo export GDK_CONV=\'\' >> ~/.bashrc プレゼンテーション 簡単なテキストファイルでプレゼンテーション資料を作成できる MagicPoint が幸せです。標準では入っていませんので、rpm コマンド でインストールしてください。ドキュメントは /usr/doc/magicpoint-*/ にあります。 パッケージ管理 Red Hat Linux のパッケージ管理ツール、rpm を使います。使いかたは 「Using RPM 」を参照 してください。 5. 日本語入力 Vine の標準日本語入力・変換システムは Canna です。kterm や他の X 上の アプリケーションでは、[Shift]+[スペースキー] で日本語入力/変換機能を使 用できます(もちろん日本語に対応しているアプリケーションのみですが)。最 低限、以下のキーバインドを覚えておけばだいじょうぶでしょう。 変換 中止 確定 前 後 文節伸 文節縮 前候補 次候補 単語他 スペース Ctrl+g Enter Ctrl+f Ctrl+b Ctrl+o Ctrl+i Ctrl+p Ctrl+n F1 Canna の各種ドキュメントの PostScript ファイルが /usr/doc/Canna-3.5b2/candoc.tgz に固めてありますので、展開して gv で見 るなり印刷するなりしてください。 $ tar xvzf /usr/doc/Canna-3.5b2/candoc.tgz $ cd candoc $ gv canna.ps & 6. 情報収集 Vine には JMAN プロジェクト 、X Japanese Documentation Project による日本語マ ニュアルページ、JF プロジェクト によるドキュメント各種 が収録されています。 これらの日本語文書は Window Maker の Dock から起動できる tknamazu に よって検索することができます。また、日本語マニュアルは jman コマンドに よって参照できますが、もともとの英語マニュアルと記述がずれている場合も ありますので、man コマンドも参照てください。 また、Vine 関係の各種ドキュメントは /usr/doc/HTML/ 以下に収められてい ます。Netscape が起動している状態で Window Maker の Dock 右上の「ぶど うアイコン」をクリックすれば、これらのファイルを見ることができます。併 せて、Project Vine のホームページもチェックしておいてください。コンソ ールの場合は、kon が起動していれば lynx を利用できます。 7. システム設定 Linux を個人で使用している人は Linux の管理者でもあります。ここではシ ステム設定のしかたに軽く触れておきます。 7.1. shadow パスワード 特に、どんな形態であれインターネットに接続する場合、自分の環境を守るだ けでなく外のネットワークへ迷惑をかけないためにも、セキュリティーには十 分に気をつけておく必要があります。Vine Linux では、できる限りセキュリ ティーと使用の際の便宜の兼ね合いを取っていますが、インストーラの関係上 shadow パスワードについては設定されていません。システムのパスワードシ ステムを shadow パスワードにするには、root ユーザで次のようにします。 詳しくは man 5 shadow、man pwconvなどを参照してください。 # /usr/bin/pwconv 7.2. キーボード(Ctrl⇔CAPS) コントロールキーと CAPS ロックの機能を入れ替えたい人 は、/etc/sysconfig/keyboard のKEYTABLE に cl2c-d を加えましょう。 KEYTABLE="jp106 cl2c-d" ~~~~~~~追加 7.3. X サーバ 通常は Xconfigurator を利用して /etc/X11/XF86Config を生成しますが、こ れでうまく動かない場合は手で編集するか、XF86Setup を利用してくださ い。Xconfigurator で設定した XF86Config ファイルを利用して XF86Setup を使うとうまくいかない場合がありますので、注意してください。 また、インストール時にサーバを自動認識しなかった場合、自分のビデオカー ドに対応するサーバパッケージもあらかじめインストールしておいてくださ い。パッケージ名は XFree86-サーバ名-3.3.3.1_jp-1.i386.rpm になっていま す。 7.4. 印刷 プリンタ等から印刷するためには「lpr」コマンドを利用するのですが、その 前にプリンタの設定を行わなければなりません。root ユーザで printtool を 起動します。後述のコントロールパネルからも起動できます。 # printtool 7.5. サウンド サウンドカードの設定には sndconfig を使います。 # /usr/sbin/sndconfig 多くのサウンドカードは自動認識されますが、場合によっては自動認識しな かったりフリーズしてしまったりすることがあります(特にPCIではないマシン の場合)。自動認識をさせずに手動で設定する場合、以下のようにします。 # /usr/sbin/sndconfig --noprobe 7.6. 全般的な設定 その他、各種サービスの設定、ネットワークの設定など、様々な設定を行うツ ールがあります。通常は root ユーザで実行します。残念ながら、これらのツ ールの日本語化は作業中です。 いずれのツールも、ユーザの「メインメニュー」の「ユーティリティ」→「管 理ツール」から呼び出すことができます。kterm が起動したら root 用パスワ ードを入力してください。 linuxconf ディストリビューションに関係なく様々な設定を行うことのできるツー ルです。できる限りシステムの再起動が必要としないような処理をして くれたり、CUI、GUI、Web ブラウザ によるインターフェースが準備さ れていたり、多言語に対応できうる構成になっていたり、高機能なツー ルです。 setup インストール時に行った設定その他(kbdconfig:キーボード設 定、mouseconfig:マウス設定、ntsysv:各種サービスの利用・利用停 止、sndconfig:音源設定、timeconfig:タイムゾーン設 定、Xconfigurator:X の設定)を呼び出すメニューです。 control-panel Red Hat Linux に昔から付属しているコントロールパネルで す。Printer Configuration (printtool コマンド)、Kernel Daemon Configuration(kernelcfg コマンド) 以外は、できるだけ linuxconf を使うほうがお勧めですが、よくわからなければこちらでもいいでしょ う。 8. ノートでの注意点 Vine の標準カーネルでは APM 機能が off になっています。これを有効にす るためにはカーネルオプション「apm=on」を加えます。LILO でこれをデフォ ルトにする方法は「Kernel Upgrade/Configure Guide for Vine 」を参照してください。 カードを挿したらマウスやモデムが動かなくなった、音が出なくなったなどの 場合には、IRQ が重複している可能性があります。PCMCIA のデフォルト設定 では、IRQ 3,5,12 など、他のデバイスで使用されるかもしれない IRQ も使っ てしまう設定になっていますので、これらの IRQ を使わせたくない場合は /etc/pcmcia/config.opts を編集しましょう。 現時点では、PCMCIA のネットワーク設定に対して scheme を利用することが できません。これは linuxconf などの設定ツールとの相性の問題です。ネッ トワーク設定にこれらの設定ツールを使わないのなら ば、/usr/src/linux/pcmcia-*/etc/network.srcorg、network.opts.srcorg を /etc/pcmcia/ 以下に network、network.opts として置いてください。 PCMCIA のモジュールオプション設定ファイルは /etc/sysconfig/pcmcia で す。PCIC_OPTS や CORE_OPTS が必要な場合はこのファイルに書き込みましょ う。インストール時に設定したモジュールオプションはこのファイルには自動 的には書きこまれません。 9. 著作権 この文書は松本庄司(MATSUMOTO Shoji)による著作物で、著作権は著者が有し ます。改変、再配布についての許諾、バグ報告は Project Vine までお願いします。