Vine Installation for Intel PC/AT Hideya Hane 著 Written: <1999/03/28 03:16 on parasite.privnet> この文書には、Vine Linux をインストールする手順が書いてあります。 本バージョンには以下の制限があります。これらを了承の上、本バージョンを ご利用ください。 o インストール時に一部画面の表示が乱れるところがあります o 全てのソフトウェアが日本語化されているわけではありません その他にも不具合があることもありますが、不具合解消のために更新された ファイルやドキュメントは、Vine 配布用のftpサイトにて公開します。随時 Project Vine Web ページ (http://vine.flatout.org/)をご確認ください。 また、不具合を見つけた場合は、Project Vine までご報告いただければ幸い です。 1. はじめに Vine Linux は日本語インストーラを採用しており、簡単にインストールを行 なえます。実際のインストールは、このドキュメントを一読した後で行なうよ うにしてください。説明の都合上、説明の順番が前後する部分が一部(パー ティションからのインストール等)存在します。 ※従来 RedHat Linux を利用したことがあれば、ほぼ同じ手順でインス トールできます。 2. ディレクトリ構成 Vine Linux は、以下のディレクトリから構成されます。ftp などで入手した 場合は、i386 以下のディレクトリを / として読みかえてください。なお、入 手の際、Vine/instimage/usr/bin 以下のファイルに、実行属性がついている ことを確認してください(特に CD-ROM を作成する場合や、NFS サーバからイ ンストールする場合)。 / ├Vine/ バイナリパッケージ ├SRPMS/ ソースコード(src.rpm形式) ├doc/ HOWTO 等のドキュメント ├dosutils/ Windows/DOS で使用するツール類 ├images/ ブートフロッピーのイメージ └misc/ インストーラソース等 ├command_en/ 日本語化されていないオリジナルのコマンド └wcsmbs/ wcsmbs-locale の古いバージョン 3. インストール 3.1. インストール手順 インストールの大まかな手順は、次のようになります。 事前準備 ↓ ブートディスク作成 ↓ インストーラ起動 ↓ パーティション設定 ↓ ハードディスクへのファイル展開 ↓ 環境設定 3.2. 事前準備 調べておくこと これからインストール方法を簡単に説明しますが、インストールを行な う前に、いくつか準備が必要になります。例えばブート用のフロッピー ディスクを作成するための未使用媒体や、ハードウェアが使用する IRQ、IO ポート等の設定を調べておくことです。 パーティションについて Vine Linux をインストールするには、ハードディスクに新たにパー ティションを作成するための空き領域が必要です。Windows がプレイン ストールされた PC を購入した場合は、ハードディスクのすべての領域 を Windows が使う設定になっていることがほとんどです。この場合 は、以下のいずれかの方法で空き領域を確保してください。 1. Linux 用に空き領域を残して Windows を再インストールする。 2. Windows のパーティションで、未使用の部分を空き領域にするツー ルを利用する。このツールには、dosutils ディレクトリ内の fips.exe や、パーティションマジック等の市販のものが利用できま す。これらのツールを使用する前に、一時的に仮想記憶を使わない ようにしたうえでデフラグを行ってください。 3. 新規にディスクを増設する。 1 の方法は、既存の環境を初期化することになるので、必ず必要なデー タをバックアップしてから行ってください。また、2 の方法の場合も絶 対に安全とは言えませんので、必要なデータのバックアップを行ってく ださい。 必要な空き領域のサイズは、Vine Linux を全てインストールした場合 で約 600MB 必要です。この他にスワップ領域が必要となります。ス ワップ領域はとりあえず 64MB 程度あれば充分でしょう(一律に実装メ モリの 2 倍必要などと言う事はありません)。 メモ : ハードディスクの空き領域 Windows プレインストールマシンがほとんどになった現在ではほと んど意識することはありませんが、新品のハードディスクを使う場 合、まず論理的にいくつかに分割し、その分割したものをどの OS で使用するかを設定します。この分割したものを『パーティショ ン』と言います。そして、パーティションに割り当てられていない 部分を、『空き領域』等といいます。Linux を初めてインストール する場合、空き領域に Linux が使用するパーティションを作成する 必要があるのです。この説明については、Windows の FDISK.EXE コ マンド等も参考になるでしょう。 3.3. ブートディスクの作成 Vine Linux のインストーラは、以下の 2 つのどちらかの方法で起動します。 1. ブート用のフロッピーディスク(ブートディスク)を作成し、それを使って 起動する。 2. CD-ROM ドライブから起動できる PC と起動可能 CD-ROM を使う場合、CD- ROM から起動する(起動する方法は PC のマニュアルを参照してくださ い)。 1 の方法でインストールを行なう場合、インストーラ起動のための、ブート ディスクを作成する必要があります。PCMCIA カードやネットワーク経由でイ ンストールする場合はさらに補助ディスクも必要になります。 ブートディスクは、Windows の DOS プロンプトや MS-DOS 上で作成するのが 簡単ですが、Linux や他の UNIX 系 OS での CD-ROM、フロッピーディスクの 扱いがわかっている人ならば、以下のようにして作成できます。 ここでは Vine Linux の CD-ROM が /mnt/cdrom に mount されており、フ ロッピーディスクのデバイスが /dev/fd0(Linux のフロッピーディスクドライ ブ用デバイス)であると仮定します。最初の行でブートディスクを作成し、次 の行で補助ディスクを作成します。 # dd if=/mnt/cdrom/images/boot.img of=/dev/fd0 bs=512 count=2880 # dd if=/mnt/cdrom/images/supp.img of=/dev/fd0 bs=512 count=2880 それでは、Windows の DOS プロンプトや MS-DOS 上での作成方法を紹介しま す。 Vine Linux の CD-ROM を入れディレクトリを CD-ROM の images ディレクト リに移動すると、ここにブートディスク作成用のバッチファイル mkboot.bat がありますので、1.44MB フォーマット済のフロッピーディスクをドライブ A に挿入して mkboot.bat を実行します。ここでは CD-ROM が G: ドライブであ ると仮定します。 G> cd \images G> mkboot.bat もし mkboot.bat が正常に動作しない場合は、フロッピーを挿入して次の rawrite コマンドを実行してみて下さい。 G> ..\dosutils\rawrite.exe -n -f boot.img -d a: PCMCIA カード、ftp、パーティション等よりインストールする場合は、さらに 補助ディスクも作成しなければなりません。作成はブートディスクと同様の手 順で、supp.img をフロッピーディスクに書き込みます。 G> mksupp.bat mksupp.bat が正常に動作しない場合は、以下のようにしてください。 G> ..\dosutils\rawrite.exe -n -f supp.img -d a: 3.4. インストーラの起動 前項で作成したブートディスクを挿入し、マシンを再起動します(もしくはCD- ROM から起動します)。boot: のプロンプトが表示されたら、そこで [Enter] キーを入力します。 インストールする PC で使用しているビデオカードの種類によっては、この先 画面が表示されなくなる場合があります。その場合は、PCを再度起動 し、boot: プロンプトから、 boot: linux nokon ~~~~~~~~~~~ 下線部を入力してください。この場合、日本語表示はできなくなりますが、英 語表示でインストールを続行することができます。つまり、kon を使用せずに インストールを行うわけです。 また、 o PCMCIA のモジュールにオプションを与えたい場合 o SCSI を自動認識させたくない場合 o その他、オプションを自動設定したくない場合 には、expert モードを使ってください。 boot: linux expert ~~~~~~~~~~~ インストーラのキー操作 インストーラでは、いくつか選択を行なったり、文字入力を行なう必要 が有ります。この時の主なキー操作は、[TAB] キーで項目を移動、カー ソルキーを使って選択、のようになっています。実際選択内容が決定さ れるには、「確認」や「了解」のボタンを [Enter] で選ばねばならな いこともあります。 3.5. インストール開始 以下は、インストールメニューに従って説明を行ないます。『Vine Linux (オ ープニングメッセージ)』メッセージが表示されたら、[Enter] キーを押して 次に進みます。 3.6. 初期設定 はじめに、キーボードタイプやインストール媒体、パーティションの設定など を行います。 Choose a language(言語選択) 使用する言語を選択します。English か Japanese を選択できます。こ こで Japanese を選択すると、以後の表示が日本語に切り替わります。 PC の再起動のところで nokon を選択した場合は、日本語の表示が行え ませんので、English を選んでください。English を選んだ場合でもき ちんと日本語化された Vine Linux がインストールされます。 キーボードの設定 使用するキーボードを選択します。日本語 106/109キーボードのユーザ は jp106 を、101/104 キーボードのユーザは us を選択します。 3.7. インストールの方法の選択 「インストールの方法」では、インストール媒体に何を使用するかを選択しま す。使用する媒体によって、以下のいずれかを参照してください。また、特別 な知識が前提となる場合もあります。 なお、Project Vine では主に CD-ROM、NFS、FTP からのインストールテスト を行っています。 ローカルの CD-ROM PC に装着された CD-ROM ドライブから、インストールを行ないます。 「ローカルの CDROM」を選択したら、次に CD-ROM を挿入する旨のメッ セージが表示されるので、挿入して「了解」を選択して次のステップに 進みます。 NFS サーバ LAN 上の Vine Linux のファイルが置かれた NFS サーバから、インス トールを行ないます。LAN や NFS の等のネットワーク設定に関する知 識が必須になります。UNIX 系 OS の経験が無い場合は、ほぼ使用でき ないと思ってください。 「NFS サーバ」を選択したら、まず NIC(ネットワークインターフェイ スカード)の設定を行ないます。PCI NIC の場合、ほとんどのカードは 自動検出されますが、ISA NIC の場合は IRQ と I/O ポートの値を入力 します。 NIC の設定がおわったら、「ブートプロトコル」を選択して、IP アド レスの取得方法を決定します。「固定 IP アドレス」は手動設定、あと の二つはサーバから IP アドレスを取得します。 NFS サーバ名と、Vine Linux が存在するディレクトリを入力します。 ディレクトリには、ディレクトリ構成のところで説明した i386 以下の ファイルが存在するところを指定します。例えば、i386 以下のファイ ルがサーバの /pub/vine 以下に存在する場合には、/pub/vine を入力 します。これらを入力したら次のステップに進みます。 FTP サーバ ネットワーク上で Vine Linux を公開している FTP サーバからインス トールを行います。ネットワーク設定に関する知識が必須になりま す。UNIX 系 OS の経験が無い場合は、ほぼ使用できないと思ってくだ さい。 「FTP サーバ」を選択したら、まず NIC(ネットワークインターフェイ スカード)の設定を行ないます。PCI NIC の場合、ほとんどのカードは 自動検出されますが、ISA NIC の場合は IRQ と I/O ポートの値を入力 します。 NIC の設定がおわったら、「ブートプロトコル」を選択して、IP アド レスの取得方法を決定します。「固定 IP アドレス」は手動設定、あと の二つはサーバから IP アドレスを取得します。 FTP サイト名と、Vine Linux が存在するディレクトリを入力します。 ディレクトリには、ディレクトリ構成のところで説明した i386 以下の ファイルが存在するところを指定します。例えば、i386 以下のファイ ルがサーバの /pub/Linux/Vine-1.0 以下に存在する場合に は、/pub/Linux/Vine-1.0/ を入力します。anonymous FTP (匿名 FTP)ではない場合や、proxy サーバを利用する場合は、「anonymous で ない ftp を使用する、もしくはプロキシサーバを使用する」をチェッ クしてください。 ローカルのハードディスク Vine Linux のファイルが置かれた Windows(FAT) や Linux(ext2) のパ ーティションからインストールを行ないます。もし、この方法を使用す る場合、一旦インストールを中断して Windows(FAT) か Linux(ext2) のパーティションに Vine Linux のファイルをコピーします。ここで は、ftp で Windows (FAT) パーティションに取得した場合を想定して 説明します。 まず、ftp で .../i386/Vine/... の Vine が C: 以下にくるように入 手しておきます。その後ブートディスクで再起動し、「ローカルのハー ドディスク」を選択します。ここで補助ディスクの挿入が要求されます ので、画面の指示に従います。 このあと、パーティションの設定後に Vine Linux のファイルが存在す るディレクトリが聞かれますので、IDE なら /dev/hda1、SCSI なら /dev/sda1 を選択し、ディレクトリは / とします。 Windows 共有ディレクトリ Windows のネットワーク共有ディレクトリ(SMB)からインストールを行 います。ネットワーク設定に関する知識が必須になります。UNIX 系 OS の経験が無い場合は、ほぼ使用できないと思ってください。 「Windows 共有ディレクトリ」を選択したら、まず NIC(ネットワーク インターフェイスカード)の設定を行ないます。PCI NIC の場合、ほと んどのカードは自動検出されますが、ISA NIC の場合は IRQ と I/O ポ ートの値を入力します。 NIC の設定がおわったら、「ブートプロトコル」を選択して、IP アド レスの取得方法を決定します。「固定 IP アドレス」は手動設定、あと の二つはサーバから IP アドレスを取得します。 ディレクトリ共有サーバの名前、ボリューム名、利用アカウント名、パ スワードをします。 3.8. インストールの種類を選択 インストールパス ここからインストールのセカンドステージです。つまり、フロッピー上 のインストーラから、CD-ROM 上のインストーラに制御が移ります。こ こでは、Linux がインストールされていない状態のマシンへインストー ルするか、既に Linux がインストールされているマシンへアップグレ ードをするかを選択します。ここでははじめて Linux をインストール するものとするので、「インストール」を選択します。 インストールクラス ここでは、特定の内容(デスクトップ PC、ノート PC)によりインストー ルするか、手動で選択(カスタム)しながらインストールするかを選択し ます。ここでは、「カスタム」を選択するものとして説明します。 なお、デスクトップ PC やノート PC を選択すると、既存の Linux パ ーティションはすべて初期化され、パーティションの設定からインスト ールまでが自動的に処理されます。 SCSI の設定 インストールクラス設定後、SCSI インターフェイスがある場合は設定 します。PCI のものは自動検出されますが、検出されない SCSI インタ ーフェイスを使用している場合は、「SCSI アダプタがありますか?」の 問に「はい」をこたえ、画面の指示にしたがって手動で設定する必要が あります。手動設定の場合は、あらかじめ IRQ や I/O ポートの値など を調べておかねばなりません。 3.9. パーティションの設定 ディスクのセットアップ Linux をインストールするパーティションの設定を行います。設定の方 法には Disk Druid と fdisk を使用する方法がありますが、ここでは 「Disk Druid」を使用することにします(Disk Druid は論理パーティ ションを使う傾向にあるので、これを嫌うのであれば fdisk を使用す ると良いでしょう)。「現在のパーティション」の画面にかわったら、 「追加」を選択してパーティションを追加していきます。 Linux には、最低限 / (ルート)とスワップのパーティションが必要で す。最初にスワップを設定したら、/ は 「拡張可?」をチェックして おけば、最大容量を確保してくれます。その他、/, /usr, /var, /home とパーティションを分ける場合でも、/home を拡張可能にしておけば、 ここで半端な領域の調整ができるようになります。ここがよく分からな い場合、/ とスワップのみ、つまり最低限必要なパーティションだけを 作成すれば混乱しにくいでしょう。 例えば /, /usr, /home に分ける場合、/ は通常 100M もあれば大 丈夫で、/usr にはフルインストールで 700M ほどで足ります。パー ティションを分けるメリットは、バックアップがしやすい、ディス ク障害時に復旧しやすいなどがあります。 設定が終ったら、「了解」を選ぶと変更をパーティションテーブルに保 存するか尋ねて来るので、「はい」を選択して次にすすみます。 スワップを有効にする スワップを初期化し、システムに認識させます。初期化の対象とフォー マットで不良ブロックの査定をするかが選択できますが、Device の チェックマークを外してはいけません。不良ブロックの査定は、初めて 使用するディスクや信頼性に疑問がある場合に使うと良いでしょう。 チェックマークをつけたら、「了解」でフォーマットが開始され、次に すすみます。 フォーマットするパーティション Linux 用のパーティション(ここでは /)をフォーマットしま す。/dev/xxx のところをチェックマークをつけます。また、「フォー マットで不良ブロックの査定する」は、スワップの時と同様です。 チェックマークをつけたら、「了解」を選択します。ただし、ここでは まだフォーマットはおこなわれません。実際にフォーマットされるの は、ソフトウェアがディスクにインストールされる直前です。 3.10. インストール内容の決定 インストールする内容(コンポーネント)を選択します。ここが Vine Linux が RedHat Linux と大きく異なる部分で、コンポーネントを再分類し大幅に簡略 化してあります。 インストールするコンポーネント リストの中からインストールする内容を選択します。リストの各コンポ ーネントがあらわす内容は、次のようになっています。 X Window System TrueType フォントの表示を可能にした X-TT 対応版の XFree86-3.3.3.1 や、Xで動く各種アプリケーション、ボールド体を 含めたビットマップフォント、フリー版の日本語 TrueType フォン トが含まれています。 Mail/WWW/News 関連 メールリーダの vmail、定番の Netscape Communicator 等のネット ワーククライアントが収録されています。 ダイアルアップ (PPP) 接続 PPP 接続パッケージである PPxP が収録されています。Vine Linux では、PPxP をメインの PPP 接続ツールとしています。PPxP を利用 した PPP 接続については「PPxP QuickStart for Vine 」を参照してください。 LAN 接続 LAN 接続パッケージ。LAN 環境で使用するアプリケーション等が含 まれています。 ファイルサーバ(NFS/SMB/IPX) ファイルサーバ構築パッケージ。UNIX で一般的な NFS、Windows の ファイルサーバになれる samba 等が含まれています。 インターネットサーバ(DNS/WWW/News) インターネットサーバ構築パッケージ。bind、apache、inn 等のイ ンターネット関連のサーバが含まれています。 ノート PC ツール ノート PC 用ユーティリティ。pcmcia-cs や apmd 等が含まれてい ます。 TeX ドキュメントシステム ASCII 日本語 TeX バージョン 3.1415, p2.1.8。プレビューに使用 する 300dpi の PK フォントや、dvi ファイルのプレビュアも含ま れています。 開発ツール コンパイラ/ライブラリ等の開発パッケージ。GCC や各種開発用のラ イブラリが含まれています。 日本語ドキュメント 日本語ドキュメントとその検索システム。JF 等のドキュメントと、 検索システム namazu が含まれています。 Everything を選択するとほぼすべてのパッケージがインストールされ ますが、デスクトップ PC であってもノート PC 関連のものもインスト ールされてしまいます。これによる干渉などは発生しません が、Everything を選択するよりは、きちんと取捨した方が良いでしょ う。「個々のパッケージを選択する」にチェックマークを付けると、よ り細かい単位でインストールするものを選択できますが、コンポーネン トの構成について詳しい人以外にはお勧めしません。 必要なコンポーネントを選択したら「了解」で次にすすみます。一部の パッケージのインストール中にしばらく止まったように見える場合があ りますので、あわてずにしばらく待ってください。 インストールのログ ここで、インストール時の記録が /tmp/install.log ファイルに記録さ れることが表示されます。「了解」を選択すると、実際に Linux パー ティションがフォーマットされ、ソフトウェアのインストールが開始さ れます。 3.11. 環境設定(1) 検出結果 インストールが終ったら、環境設定にはいります。まず、マウスのタイ プが検出されるので、「了解」で次に進みます。 マウスの設定 自動的に検出された結果で良ければ、そのまま「了解」で次に進みま す。3 ボタンマウスなどの場合は、ここでマウスのタイプを選択しなお す必要があります。 また、2 ボタンマウスの場合は、「3 ボタンをエミュレートします か?」にチェックマークをつけてください。左右のボタンを同時にク リックすることで真中ボタンを押したものとして扱われるようになりま す。 なお、マウスタイプを選択する時、一部表示が乱れる事がありますが、 これは現在の仕様となっています。乱れた場合は、カーソルを上下に移 動してやれば再描画されるので、その後確認してから選択して下さい。 3.12. X Window System の設定 X Window System の設定では、ビデオカードやモニターの設定します。一部の ビデオカードや解像度については、インストール完了後に XF86Setup を使用 して設定したほうが良い結果が得られることもあります。 PCI 機器の検出 まず、PCI のビデオカードが検出され、その結果が表示されますので、 「了解」ですすみます。するとビデオカードに適合する X サーバがイ ンストールされます。AGP 等検出されないビデオカードの場合は、ビデ オカードの選択画面に移行するので、ここから使用するビデオカードを 選ばねばなりません。 モニタセットアップ 使用するモニタの種類を選択します。ここでのリストは、XFree86 のデ ータベースをほぼそのまま使用していますので、国産のモニタはほとん ど存在しません。そこで、汎用のマルチシンクモニタ(Generic Multi Sync Monitor)を 2 種類追加しました。大抵は、この 2 つのうちどち らかを選択すれば良い筈です。また、VAIO505 や Lets Note 等 NeoMagic のチップを使用した機種では LCD Panel 800x600(Neomagic) を選択して下さい。 これら以外のユーザは、ここでは「カスタム」を選び、自分が使用する モニタに一番近いスペックを指定してあげます。 検出開始 ここで、表示可能な解像度と発色数を自動検出します。「了解」ですす めば、検出が行われます。ここで画面が何回か点滅しますが、気にする 必要はありません。 検出終了 選択されたモニターの情報から、最適と思われる解像度、発色数が画面 に表示されます。このままで良ければ「デフォルトの使用」を、他の解 像度/発色数に変更したければ「選択します」を選び、希望する解像度 と発色数を選択します。 3.13. 環境設定(2) ネットワークの設定 ネットワークインターフェイスカード(NIC)がある場合「はい」ですす み、NIC の種類、IP アドレスやドメイン名、ホスト名を設定します。 なお、ここでの設定は LAN 環境の設定であり、プロバイダへのダイヤ ルアップ接続とは無関係です。 タイムゾーンの設定 タイムゾーンの設定をします。デフォルトで Japan にカーソルがあっ ているはずなので「完了」で次に進みます。「ハードウェアクロックを 世界標準時刻とみなします」は、PC の内蔵時計を GMT(世界標準時 刻)に合わせてある場合にチェックマークをつけます。 サービス Linux 起動時に起動するデーモンの選択を行います。Vine Linux では 安全性を重視し、sendmail や named など必須ではないサービスはデ フォルトで起動しないようになっています。これらが良く分からない場 合は、下手に選択せず、「完了」で次に進みましょう。 プリンタの設定 プリンタの設定を行います。ここでは「ローカルプリンタ」の設定につ いて説明します。リモート lpd や LAN マネージャプリンタの設定につ いては、ネットワーク管理者に相談してください。 プリンタの設定は簡単で、「プリンタの設定」画面まではデフォルトの 設定で構いません。「プリンタの設定」画面で使用するプリンタを選択 してください。最後に用紙のサイズと解像度を選択すれば、確認画面が 表示され設定完了です。 root のパスワード スーパユーザ(root)のパスワードを設定します。確認のため同じパスワ ードを 2 回入力します。入力したパスワードを忘れないように注意し て下さい。また、あまりに単純な物は避けて下さい。アルファベット大 文字小文字をとりまぜ、数字や記号も入れると比較的安全です。なお、 キーボードの設定が実際のキーボードとずれている場合、記号の位置が ずれていることがありますので、注意してください。 ブートディスク HDD から起動したくない場合や HDD からの起動に失敗した場合を考え て、ブートディスクを作成します(ここでのブートディスクは、インス トールのための物ではありません)。「はい」で次に進んだら、1.44MB フォーマット済みのフロッピーディスクを挿入して「了解」を選択する と、ブートディスクが作成されます。 Vine Linux インストール後うまくハードディスクから起動できなかっ た場合は、このブートディスクから起動することで復旧作業を行なえま す。 LILO のインストール LILO は、Linux や Windows を HDD から起動するためのブートローダ です。ここでは LILO の設定をおこないます。まずインストールする場 所を指定しますが、通常は「マスターブートレコード(MBR)」を選択す ればよいでしょう。市販のシステムコマンダー等、他のブートローダを 使用する場合は、「ブートパーティションの先頭セクタ」を選択しま す。インストールする場所が決まったら、「了解」ですすみます。「了 解」ですすんだらカーネルオプションの設定画面になりますが、大抵は オプションの設定は必要ありません。 マスターブートレコードをいじりたくなければ、前節で作成したブート ディスクを使用することにして「インストールしない」を選択しても良 いでしょう。 なお、LILO を完全に MBR から消してしまいたい場合は、起動可能 な DOS フロッピーディスクに fdisk.exe を入れておき、「fdisk /mbr」を実行します。 ブートできるパーティション Linux 以外に Windows 等の起動可能な OS の設定をします。しか し、Windows についてはほとんどの場合設定されている(dosのブートラ ベル名)ので、「了解」で次に進んで構わないはずです。ブートラベル を変更する場合や手動で設定する場合は、「編集」を選択して設定して ください。 3.14. インストールの完了と Linux の起動 終了 これでインストールは完了です。HDD から起動する場合はフロッピー ディスクを抜いて、ブートディスクを使う場合はブートディスクを挿入 して「了解」を選ぶと、再起動されます。 Linux の起動 しばらくして LILO boot: のプロンプトが表示されたら、Linux[Enter] で Linux が、dos[Enter]で DOS/Windows が起動するようになっている はずです。Linux の起動を選択したら、(いくつかのメッセージが表示 されたあとで) login: のプロンプトが表示されれば起動は成功です。 APM BIOS を有効にしたい場合、LILO boot: のプロンプトから、 LILO boot: Linux apm=on として起動します。うまくいけば、/etc/lilo.cfg にデフォルトのカー ネルオプションとして登録しておけばよいでしょう。やりかたは「jman lilo.conf」で確認してください。 一般ユーザの登録 Linux に限らず、一般的な UNIX システムには、管理者であるユーザ root と一般ユーザが存在します。root ユーザでシステム管理以外の作 業をするのは好ましくありませんので、通常は一般ユーザのアカウント を登録して利用します。 インストール直後には root ユーザしか登録されていませんので、root ユーザでログインして新しいユーザを登録しましょう。ここではアカウ ント「hoge」を登録することにします。下の「Hoge Hogeo」には、ユー ザ「hoge」さんの名前を英語で書くのがふつうです。 login: root Password: # /usr/sbin/useradd -c 'Hoge Hogeo' hoge これでアカウント hoge が登録され、ホームディレクトリ /home/hoge が作成されました。次にアカウント hoge のパスワードを設定します。 # /usr/bin/passwd hoge New UNIX password: ← パスワードを入力 Retype new UNIX password: ← 確認のためにもう一度入力 さらにこのユーザで Vine の標準 PPP クライアント PPxP を使いたい 場合は、以下のようにしておきます。 # /usr/sbin/ppxpadduser hoge 次からは、システムの管理をする以外は一般ユーザのアカウントを利用 するようにしましょう。 Linux の終了 Linux は、DOS のように即座に電源を切ってはいけません。シャットダ ウンという操作が必要だからです。この操作は、shutdown コマンドで おこないます。shutdown は root ユーザのみ行えます。実行はプロン プトから、 # shutdown -h now とします。APM BIOS を有効にしており正常に動作していれば、Windows のように電源が切れるでしょう。APM BIOS を持たないマシンの場合 は、System halted のメッセージを確認してから電源を切ってくださ い。 4. インストール後の操作 4.1. コンソールでの日本語表示 コマンドのメッセージ出力などの言語を指定する環境変数 LANG/LANGUAGE/LC_CTYPE は、デフォルトで ja_JP.ujis に設定されていま す。よって日本語カタログファイルが用意されているコマンドは各種メッセー ジが日本語で表示されます。 ただし、コンソール(X Window Systemを利用しない場合)では、 kon を起動し てからでないと日本語表示はできません。これを嫌うのであれば misc/command_en 以下に格納されている英語版プログラムと差し替えてくださ い。また、ユーザ用のシェル設定ファイル ~/.bashrc 内に alias eng='LANG=C LANGUAGE=C LC_CTYPE=C' という行を加えておけば、コマンドライン上で $ eng <使いたいコマンド> とすることで、英語環境として <使いたいコマンド> が実行されます。 コンソールにログインしたらいつも kon が起動するようにしたけれ ば、~/.bash_profile の先頭に以下を挿入しておくとよいでしょう。kon を正 常に利用できることをちゃんと確認しておきましょう。また、root ユーザの 設定にこれを加えることはお勧めしません。 if [ "$TERM" = "linux" -a "$KONFLAG" = "" ] ; then KONFLAG=true export KONFLAG exec kon fi 4.2. X Window System 起動 X Window System は startx コマンドで起動します。xinit でも起動で きますが、様々な処理が実行されないため、不都合が起こります。 ウィンドウマネージャ デフォルトのウィンドウマネージャは、Window Maker です。各ユーザ が一番最初に startx したとき ~/GNUstep が作成され、そこに個人用 の設定が保存されます。なお、この状態で 日本語入力ツールである kinput2 まで起動していますので、Netscape Communicator や vtoolsですぐに日本語入力が可能です。詳しくは「Window Maker Usage for Vine 」を参照してください。 画面右側の上から 6 番目のアイコンをダブルクリックして Netscape を起動しておき、1 番上のぶどうアイコンをダブルクリックすると、ロ ーカルディスクにインストールされた Vine Linux ガイドにアクセスす ることができます。 任意のウィンドウマネージャや XIM (日本語入力システム)を使用し たい場合は、~/.xinitrc もしくは ~/.Xclientsを作成します。この 場合、kinput2 を始めとする X のクライアントは、全て明示的にそ の実行を記述しなければなりません。Vine の Xclients システムデ フォルトは /etc/X11/xinit/Xclients にありますので、参考にする とよいでしょう。 5. いろいろな情報の検索など Vine Linux には様々なドキュメントが含まれています。特に日本語の情報に ついては、tknamazu によるドキュメント検索を使って簡単に検索できます。 JMAN、XJMAN プロジェクトによる日本語オンラインマニュアルもインストール されており、jman コマンドによって表示することができます。ただし、正規 の英語マニュアルとの不整合も予想されますので、jman コマンドと man コマ ンドの出力を併せて読んでください。 6. おわりに Vine Linux のインストールおよび概要説明は以上です。続いて、Vine Quick Start Guideにも必ず目を通してください。各ソフトウェアの詳細な説明につ いては、man コマンドや /usr/doc 以下のドキュメントを参照して下さい。 Project Vine では、Vine Linux の情報交換を目的としてメーリングリストを 主催しています。web ページに加入方法が記されているので、興味があれば是 非加入して下さい。 7. 著作権 この文書は羽根秀也(Hideya Hane)による著作物で、著作権は著者が有しま す。改変、再配布についての許諾、バグ報告は Project Vine までお願いします。